「目標は口に出すほうがいい」が一般的
「有言実行という言葉は聞いたことあるけど、不言実行は初めて聞いた」
という人も中にはいるかもしれませんが、実は不言実行の方が先にできた言葉です。
不言実行とは、あれこれ言わず、黙ってなすべきことを実行することです。
「不言実行の方が、目標を達成したときになんかかっこいい」という意見もあれば、「アニメの主人公はみんな有言実行だ」という意見もあります。
実は、「目標を口にしないほうがいい!」という、TED Talksの面白い実験もあるので、本記事では目標を公言しないことによるメリットとデメリットを考えていきます。
それでは、早速それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。


「目標は人に言わずにおこう」デレク・シヴァーズ
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あなたはTED Talksを見たことがあるでしょうか?
英語学習や、プレゼンテーションの練習のために視聴しているというひとも多いのですよね。
私も、英語のリスニングのために一時期かなり見ていました。
TED Talksでプレゼンされた、社会心理学者、デレク・シヴァーズの【目標を人に話すと達成率が下がる】という面白い実験を紹介します。
『目標を人に話すと達成率が下がる』実験内容
・被験者男女163名に紙に個人目標を書いてもらう
・半数は他の人に目標を公言し(Aグループ)、半数は目標を公言しない
・45分間、目標を達成するために自由に過ごすように指示
【実験結果】
・Aグループ:平均33分で作業を止める。「だいぶゴールに近づいた気がする」とコメント
・Bグループ:45分作業を続ける。「目標はまだまだ遠い」とコメント
目標を口にすることは、一種の報酬になってしまいます。
そのため、公言することでなんとなくやったような気になってしまい、それ以上の努力をしなくなる危険性があります。
「目標を公言する方が良い」というのが一般的な意見だったので、この実験はかなり驚きでした。
とはいえ、被験者は163名ですし、日本で行われた実験でもありません。
また、”全員が目標を紙に書く”という作業をすでに行っていること、公言する相手がそれほど深い関係でもない人であろうことなどを考慮すると、一概に「目標を公言しないほうがいい」とは言い切れないと思います。
私は、『目標は一部の人にのみ口にする』という、有言実行と不言実行のいいとこ取りが最も目標達成に近づけると考えています。
まずは、「目標を口にしない」ことのメリットとデメリットを見ていきましょう。
目標を口にしない3つのメリット
達成したときの周囲へのインパクトや感動が大きい
目標を口にしない1つ目のメリットは、『達成したときの周囲へのインパクトや感動が大きい』ことです。
目標を公言する場合と比べて、目標を達成した後にいきなり周囲に宣言すると、インパクトが大きいですよね。
「東大に合格した」
「TOEICで800点とった」
「会社辞めて、起業した」
「え、そんな目標があったの?!」「1人で黙々と頑張っていたのか!」と、相手へのインパクトや感動はかなり大きくなります。
宣言してそのとおりに目標を達成する有言実行もかっこいいですが、1人で黙々と目標達成のための努力を続けてきた不言実行もかなりかっこいいですね。
達成しなければ満足感を得られないので本気になれる
目標を口にしない2つ目のメリットは、『目標達成まで本気で突き進める』ことです。
先程のデレク・シヴァーズの実験で紹介したように、人に目標を公言すると一種の達成感が生まれてしまいます。
毎年、「痩せるぞー!」と言って全然ダイエットできない人や、「来年までに転職する」と言ってずっと同じ会社にしがみついている人は、目標を公言すること自体に満足感を感じてしまい、それ以上努力ができないようになってしまっていると考えられます。
目標を公言しなければ、達成したときにしか達成感や満足感を得ることができないため、貪欲に行動に起こせます。
また、周囲の人を驚かせ「すごい!」と言ってもらっている姿を想像し、それを目標達成の原動力とすることも可能です。
私は、周囲を驚かせることを想像してワクワクしながら「絶対に予想を超える結果を出してやる!」と努力の原動力の1つにすることが多いです。
ドリームキラーに会わなくて済む
目標を口にしない3つ目のメリットは、『ドリームキラーに会わなくて済む』ことです。
ドリームキラーとは、他人の夢や目標を否定する人のことを指します。
例えば、「東京大学が第一志望です」と周りに宣言したとしましょう。
- 「すごい!絶対受かるから頑張って!」
- 「応援するよ!」
という反応をする人もいれば、
- 「今の時点で、成績じゃ無理だよ」
- 「お前じゃ東大なんて何年浪人したって受かりっこないよ」
という反応をする人もいるでしょう。
周囲が後者のようなドリームキラーばかりだと、不快になりモチベーションが下がるだけでなく、「やっぱり自分には高すぎる目標だったかも」「きっとできないから諦めよう」と目標自体を断念することにも繋がりかねません。
周囲に公言しなければ、このような自体は未然に100%防ぐことができます。
目標を口にしない3つのデメリット
目標を簡単に下げることができてしまう
目標を口にしない1つ目のデメリットは、『目標を簡単員下げることができる』ことです。
例えば、AさんとBさんはどちらも「東大に行きたい」と思っているとします。
Aさんは「東大に行く」と公言していますが、Bさんは誰にも話していません。
あまり成績が芳しくないとき、
Aさんは「今更、志望校変えるなんて言えない!」と今まで以上に努力するでしょう。
Bさんは「誰にも言ってないから志望校はいつでも変えられる」と思ってしまいます。
目標を口に出すことで、責任感が生まれます。
志望校を変えると「あいつ志望校変えたんだって」「あいつ東大諦めたらしい」と言われてしまいます。
また、落ちたときも「あいつ東大落ちたんだって」と言われるリスクがあります。
この”責任感”を行動の原動力にしている人も少なくないでしょう。
目標を口にしないと、責任感がありません。
そのため、強い自制心がなければ、簡単に目標を下げることになってしまうでしょう。
緊張感がなく、怠けやすくなってしまう
目標を口にしない2つ目のデメリットは、『緊張感がなく、怠けやすくなってしまうこと』ことです。
例えば、「夏までに5キロ痩せる!」と宣言すると、周囲の目が気になって「デザートをたくさん食べる」なんてことはしにくくなります。
また、「そんなんじゃ夏までに5キロ痩せられないよ」と友達が注意してくれるかもしれません。
つまり、普段から緊張感が生まれます。
しかし、誰にも宣言せず1人で目標を心にしまっておくと、「今日はいいか」と少し怠けても、見ている人もいなければ、注意してくれる人もいません。
目標達成のためには、1人でずっと緊張感を持続させ、行動し続けていく必要があります。
すべてを自分一人でやらなければいけない
目標を口にしない3つ目のデメリットは、『すべてを自分一人でやらなければいけない』ことです。主に、行動と情報です。
目標を宣言することによって、周りから情報が集まるようになります。
私も東大に受験することを友人に話したとき、現役の東京大学の大学院生を紹介してもらったことがあります。
また、一緒に受験する友人と、過去問や模試を一緒に解いたりもしました。
「筋肉をつけて、10キロ太りたい!」というケースで考えると、やはり独学で学ぶよりは、何年も筋トレし続けている人のノウハウを教えてもらうほうが効率がいいですよね。
- プロテインを飲む回数
- プロテインを飲むタイミング
- おすすめのプロテイン
- 食事で気をつけること
- 正しい筋トレのフォーム
など、全て自分で調べるのは容易ではありません。
また、一緒に筋トレをする仲間がいれば、楽しく継続できます。
目標を口に出さないと、すべて1人でしなければいけません。
まとめ:実験結果は無視できないけど、デメリットが大きい
いかがでしたでしょうか。
目標を口にしないメリットとデメリットをおさらいしましょう。
確かに、デレク・シヴァーズの実験結果は無視できません。
「人に公言することで、一種の満足感を味わえてしまう」というのは、感覚的にも理解できますよね。
しかし同時に、『目標を簡単に下げることができる』『緊張感がなく、怠けやすい』『すべて自分1人でやらなければいけない』というデメリットはかなり大きいという気がしました。
皆さんは、どのように思ったでしょうか?
目標を公言するかしないかは難しいテーマですが、私は上述したように、『目標は一部の人にのみ口にする』という、有言実行と不言実行のいいとこ取りが最も目標達成に近づけると考えています。
目標を口に出すメリット・デメリットと合わせて、ぜひお読み下さい。


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参考文献
TED Talks「目標は人に言わずにおこう」(デレク・シヴァーズ)
(https://www.ted.com/talks/derek_sivers_keep_your_goals_to_yourself?language=ja)
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