もう、才能のせいにして逃げない
子どもたちに、「将来の夢はなに?」と聞いたら次のように答えるでしょう。
- 「サッカー選手になりたい」
- 「パイロットになりたい」
- 「お花屋さんになりたい」
最近は安定志向が子どもに浸透し、「公務員になりたい」という子どもも増えているようですが、いつの時代も子どもの夢の「〇〇になりたい」の〇〇はたいてい”職業”でしょう。
一方、大人になるとどうでしょう。
具体的な行動や動作になっていることが多いはずです。
- 「日本中の温泉をめぐりたい」
- 「将棋の大会に出優勝したい」
- 「海外のマラソン大会で完走したい」
- 「ギターを練習して、バンドを組んでみたい」
もちろん、「小説家になりたい」「カフェを経営したい」など、子どものころの夢を持っている人もいるでしょう。
『大人の夢は、努力で叶います』
子どもの夢より、叶えるのが簡単です。
なぜなら、大人になれば、夢を叶えるために必要な情報を揃えることも、必要なものを買い揃えることも、行動に移すこともできるからです。
また、夢の実現のために必要な『考える力』『計画する力』『判断する力』『我慢する力』などは、高次認知機能といい、遺伝を受けにくいことがわかっています。
一方、運動神経は遺伝的な影響を受けやすいということがわかっているため、「スポーツ選手なりたい」という子どもの夢は『叶いにくい』部類に入るでしょう。
しかし、イチロー選手は次のように述べています。
努力せずに何かできるようになる人のことを「天才」というのなら、僕はそうじゃない。
努力した結果、何かができるようになる人のことを「天才」というのなら、僕はそうだと思う。
人が僕のことを、努力もせずに打てるんだと思うなら、それは間違いです。
スポーツ選手は、「周りが遊んでいるときに、ひたすら練習していた」という人もたくさんいます。
天才が全くいないとは言いません。
遺伝や才能の影響がまったくないとは言いません。
しかし、天才じゃなければ、才能が不足していれば夢は叶えられないかといったら「NO」と答えます。
いくら、運動神経が遺伝の影響を受けやすいとはいえ、イチロー選手ですら努力だと主張しているのです。
困難な道ですが、スポーツ選手になりたいという夢ですら、叶わない夢ではないでしょう。
ただ、大人と違い、子どもは、夢を叶えるために必要な情報を揃えることも、必要なものを買い揃えることも、行動に移すことも自分一人の力では難しいでしょう。
自身のたゆまぬ努力の他に、親や教師など周囲の環境も少なからぬ影響を与えることになるでしょう。
それでもやはり、「努力で叶わない夢はない」というのは誤りではないはずです。
他人の努力を『才能』という言葉で片付けるのは、努力しない言い訳
『勉強は才能ではなくテクニック』
私が、書籍・ブログ・SNSなどの媒介を通じて主張している言葉です。
勉強は然り、才能や遺伝が100%の原因で夢が叶えられないということはありえないと思っています。
東大に合格してから、次のような言葉をかけられたことがあります。
- 「いいなぁ!才能があって羨ましい」
- 「すごい!自分にはどんなに頑張っても無理」
- 「東大生って、生まれながらに才能がある人しかなれないよね」
「ありがとう」と笑顔で言いながらも、心の中では次のように思っています。
- 「他人の努力を、才能の一言で片付けるな」
- 「正しい努力をすれば、誰でも東大に入れるのに」
私自身勉強が苦手で、特に英語は学年でも下から数えてすぐの成績でした。
「東大生は、天才だから才能のある人しかなれない」
「東大生は、生まれたときから頭の作りが違うんだろうなぁ」
このように思っていたからこそ、『才能という言葉で片付けるのは、努力しない言い訳だ』と思っています。
- 難関大学入学
- 過去最速で昇進
- 起業
- 自分の夢を追い続けている
他人の行動や業績、思考や信念を羨ましいと思うのであれば、「才能の違いだ」の一言で片付けてしまうのは、なんとももったいないことです。
人にできたということは、自分にもできるということです。
ただし、その人は影でとんでもない努力をしています。
- 「才能の違いだ、オレにはできない」
と諦めるのではなく、
- 「あいつにできたなら私でもできる」
- 「いい前例ができた。行動を真似すれば夢の達成に近づく」
と、前向きに考えるようにしてみて下さい。
ほとんどの人は、行動する前から自分の可能性を過小評価します。
しかし、本当は「やればできる」し「願えば叶う」のです。
『才能』を言い訳にしないことが、夢の達成の第一歩です。
夢の達成に必要な高次認知機能は遺伝性が低い
「遺伝によって頭の良さって決まっているの?」
「親によって子どもの能力は決まっているの?」
このようなことを1度は思ったことがあるのではないでしょうか。
- 自分の能力が生まれたときから決まっているなら、叶わない努力は時間の無駄だからしたくない
- もし遺伝によって能力が決まっていないとわかれば、もっと夢に向かって頑張って努力するのに
できるなら努力したいし、できないなら努力したくないですよね。
いわゆる、『カエルの子は、カエル』なのか、『トンビがタカを生む』のか。
実は、遺伝的な影響がどの程度脳に影響を及ぼしているのかは、徐々にわかってきています。
脳は、後ろほど遺伝の影響が受けやすい
・前頭前野が担う知的な活動。
・『考える力』『計画する力』『判断する力』『洞察する力』『コミュニケーション能力』『我慢する力』などがある。
東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之教授が書いた、『「脳を本気」にさせる究極の勉強法』(文響社)では、遺伝の影響をより受けやすのは、「脳の後ろのほう」と述べています。
脳の後ろのほうとは、子どもの頃によく発達する部分であり、視覚、聴覚、触覚、運動能力などがあります。
これらは、遺伝的な影響が8~9割です。
一方、脳の前の方にある、前頭前野が担う『高次認知機能』は、遺伝の影響を5~6割ほどしか受けません。
高次認知機能とは、『考える力』『計画する力』『判断する力』『洞察する力』『コミュニケーション能力』『我慢する力』などの、自己実現のための力です。
4~5割が環境によって左右されるのであれば、全く別だといっても過言ではありません。
遺伝上ほとんど同じである一卵性双生児でも、周りの環境や過ごし方によって、考え方も人生も全く違ったものになります。
自己実現や夢を叶えるのためには、考え洞察し、計画し、判断し、行動し、コミュニケーションを行いながら、時には我慢することが必要です。
この力を担うのが、脳の前頭前野という部分であり、成長の仕方は環境によって大きく変わります。
「才能がないから」
「遺伝だから」
夢を叶えるためには、このような言い訳は通用しません。
夢の実現は、遺伝や才能ではなく、『どんな暮らしをしているか』『どんな習慣を持っているか』『どんな考え方をしているか』『自分のやりたいことに向かって努力できるか』といったことがより重要であると、科学的にもわかってきているのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
人は、「できなさそうなこと」「やれなさそうなこと」をみつけると、行動せずにすぐに言い訳を考えます。
人は、「言い訳の天才」です。
そして、自分では夢を叶えられない言い訳として、『才能』や『遺伝』ほど、他人のせいにでき、責任転嫁できるものはないでしょう。
逆に言えば、ここが科学的に否定されてしまえば、こう認めざるをえないのです。
- 『夢は叶うのかもしれない』
夢などという大げさなものでなくても構いません。
- 東大に入りたい
- 後輩に尊敬されたい
- 資格試験に合格したい
- 同期より早く出世したい
- 茶道や花道を始めてみたい
- 海外の第一線で仕事をしたい
このような小さな目標でも、『才能』や『遺伝』が言い訳にならないとわかれば、足枷がはずれたように、よりいっそう頑張ろうという気持ちになるのではないでしょうか。
そうです。
正しい努力をすれば、夢は叶います。
目標は、達成できます。
「自分には無理だと言い訳し、諦めていた夢はありませんか?」
答えが「はい」であれば、ぜひ今一度、夢にチャレンジしてみて下さい。
少なくとも、才能や遺伝のせいで叶えられないということはありません。
本記事が少しでも、夢や目標に再チャレンジするきっかけとなれば、幸いです。
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