生産性が高いのは、断然シングルタスク
・1度に1つずつ作業を行うこと
【マルチタスク】
・複数の作業を同時に行うこと
シングルタスクとマルチタスク。
どちらも聞いたことがあると思います。
「どっちの方が作業が捗るの?」と疑問に感じている人や、「あの人マルチタスクでどんどん仕事を終わらせていてかっこいい!」とマルチタスクへのあこがれを感じている人もいると思います。
しかし、生産性が高いのは、断然シングルタスクです。
『SINGLE TASK 一点集中術』(ダイヤモンド社)の著書であるデボラ・ザック氏は、「マルチタスクは常に気が散っている状態であり、シングルタスクにすると生産性は10倍になる」と述べています。
さらに、心理学者の多くは、「時間は大して節約にならないが、自分がすごく効率的に動けているという感覚を得ることができる」と指摘しています。
「時間がない」と感じている人は、ほとんどと言っていいくらいに複数の作業を並行して行おうとしています。
本記事では、シングルタスクとマルチタスクについての理解を深め、生産性を高める方法をご紹介していきます。
マルチタスクには危険がいっぱい
「マルチタスクよりシングルタスクの方が生産性が上がる!」
と突然言われても、「複数の作業をテキパキ同時にこなしている人はかっこいい!」という憧れはなかなか消えないですよね。
まずはマルチタスクについてより深く理解していきましょう。
身近なマルチタスクの危険「ながらスマホ」
- あるきながらスマホをいじる
- 運転しながらスマホをいじる
このような「ながらスマホ」は社会問題にもなりました。
「ながらスマホ」は、マルチタスクが注意力を分散するという代表例でもあります。
警察庁のHPでは、携帯電話使用等に係る交通事故発生件数(平成30年度)について、次のように述べられています。
平成30年中の携帯電話使用等に係る交通事故件数は、2,790件で過去5年間で約1.4倍に増加しており、カーナビ等を注視中の事故が多く発生しています。また、死亡事故率を比較すると携帯電話使用等の場合には、使用なしと比較して死亡率が約2.1倍でした。
時速60Kmで走行した場合、2秒間スマホに目を取られているうちに、およそ33.3mもの距離を移動します。
このような状態では、一瞬注意を怠るだけでも大きな事故につながる可能性があるのは誰にでも理解できると思います。
また、運転中だけではありません。
- あるきながらスマホをいじる
- 自転車に乗りながらスマホをいじる
- 頭のなかで計算しながらスマホをいじる
スマホを見ていれば、前方への注意はおろそかになりますし、頭の中で全力で計算することもできません。
このことからもわかるように、人は100%の注意力を複数に向けることはできないのです。
パフォーマンスも下がる「同時性損失」
・2つの仕事を同時に行うだけでも、1つの仕事を単独で行う場合と比べて、それぞれの仕事のパフォーマンスは下がることが多いこと
【ワーキング・メモリ】
・情報を一時的に保つ脳の機能。作業記憶、作動記憶ともいう。
2つの情報を一時的に保つ脳の機能。作業記憶、作動記憶ともいう。作業を同時に行うだけでも、それぞれのパフォーマンスは下がることが多いです。
これを、同時性損失といいます。
例えば、「メールのチェック」と「プレゼンの準備」を同時に行っているつもりでも、厳密にいうと同時遂行ではありません。
実は、複数の課題間で断続的に行動を切り替えているだけで、課題間の切り替えという認知制御を行うために、脳は一定の緊張を強いられているのです。
そのため、「メールのチェック」と「プレゼンの準備」を並行して行うマルチタスクよりも、「メールのチェック」と「プレゼンの準備」単独で行うシングルタスクのほうが、それぞれのパフォーマンスは高くなるのです。
これは、心理実験により証明されていますが、先程紹介した、「歩きスマホ」や「運転中のスマホ」を想像すれば、経験的にも理解できます。
スマホをいじる作業も、あるく作業も、どちらも日常的に行っていて慣れ親しんだ作業であるのに、パフォーマンスの低下は免れることができません。
ワーキング・メモリの観点からみても、一つの作業をしているときに、別の作業のことを考えていることは、ワーキング・メモリの無駄遣いにほかなりません。
ワーキング・メモリを無駄遣いし、容量を圧迫すると、集中力・作業効率の低下が起こるのは必然といえるでしょう。
シングルタスクといえば『アイビー・リー・メソッド』!
・優先順位の高いものを集中して実行する方法。To-Doリストの一種。
アイビー・リー・メソッドをご存知でしょうか。
色々な書籍で紹介されているため、「聞いたことあるよ」という方も少なくないでしょう。
アイビー・リーはPR(パブリック・リレーションズ)の創始者と言われており、20世紀前半に活躍したコンサルタントです。
そのアイビー・リーが提唱した生産性向上のメソッドがアイビー・リー・メソッドで、具体的には以下になります。
【アイビー・リー・メソッド】
- 紙に「明日やること」を書く(6つまで)
- その6項目に優先度をつける
- 翌日、優先度の高いものから順番に作業を始める
- もし全部終わらなくても、後悔せずに切り替える
- 1~4を丁寧に繰り返す
この方法を行う上で大切なことは、「1つの作業が終わるまでは、他の作業は一切やらない」と決めること。
まさに、シングルタスクの極致といえるでしょう。
前日の夜に「明日やること」を書き忘れても、やることを箇条書きにした『To-Doリスト』もおすすめです。
【To-Doリスト】
- メールのチェック
- プレゼン内容考案
- 議事録の作成
- プレゼンテーションの作成
- クライアントへのアポイントの電話
このように、やることを書き、優先順位をつける。その後、上から順番に作業をする。
作業が終わるまでは、その作業のみに集中する。
この方法を徹底するだけで、マルチタスクで失われていた集中力や思考力が研ぎ澄まされ、パフォーマンスは間違いなく向上するでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「あの人すごく仕事が速い」
という人をよく観察してみてください。
複数の作業を並行して行っているのではなく、ただ1つの作業を集中して次々とこなしていっているということがわかるでしょう。
私もコンサル業界に勤めているため、クオリティとスピードどちらもかなり高いレベルで求められます。
そのような環境下で仕事をしていて、「マルチタスクでは、クオリティかスピードのどちらかに必ずボロが出る」ということを嫌でも学ぶことができました。
実際に仕事が速い人を観察してみても、『To-Doリスト』や『スケジュール帳』で自身の作業を管理し、シングルタスクで次々とタスクをこなしているということがわかりました。
唯一気をつけるべき点は、『マルチタスクでは、自分がすごく効率的に動けているという感覚を得ることができる』という点です。
その幻想を打ち払い、シングルタスクを徹底することで、あなたの生産性は劇的にアップするでしょう。
あなたの生産性を10倍にするためにも、ぜひシングルタスクを意識してみていただけると幸いです。
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