院試勉強は、量だけで押し切ると失敗しやすいです。
大学院入試は、大学受験より情報が少ない試験です。
そのため、何をどこまで勉強するかを先に決める必要があります。
この記事では、院試勉強を始める前に決めることから、過去問、英語、専門科目の進め方までまとめます。
この記事でわかることは、次の3つです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 勉強開始前の準備 | 過去問、試験科目、出願時期を確認する |
| 基礎の進め方 | 英語と専門科目をどう分けるか決める |
| 直前期の使い方 | 過去問演習、解答作成、弱点補強を行う |
院試勉強は過去問分析から始める

最初にやることは、参考書を買うことではありません。
志望先の過去問を見て、出題範囲を確認することです。
過去問を見ると、勉強の優先順位が決まります。
| 確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| 試験科目 | 数学、専門、英語、面接の有無 |
| 出題範囲 | 毎年出る分野と出ない分野 |
| 問題形式 | 計算、証明、記述、選択問題 |
| 難易度 | 教科書例題か発展問題か |
| 制限時間 | 1問に使える時間 |
私が受験相談を見る時も、最初に過去問を確認しているかを聞きます。
私自身、過去問を見ないまま勉強を増やした人ほど、途中で範囲が広がりすぎると感じています。
まず3年分を眺める
最初は解けなくても大丈夫です。
3年分を眺めて、出題の癖を見てください。
見るだけでも、次のことがわかります。
| 見えること | 例 |
|---|---|
| 頻出分野 | 線形代数が毎年出る |
| 出ない分野 | 統計力学がほぼ出ない |
| 答案量 | 証明より計算が多い |
| 時間の厳しさ | 1問10分では足りない |
ESCAPEの合格体験記でも、過去問を早い段階で見ていた受験生が多くいました。
ある合格者は、手に入った3年分を3〜5回解いたと振り返っています。
過去問は最後の腕試しではありません。
最初に見る地図です。
最新年度は直前期まで残す
最新年度の過去問は、すぐに使い切らないでください。
直前期の実力確認に使えるからです。
おすすめの使い方は次の通りです。
| 時期 | 使う過去問 |
|---|---|
| 勉強開始直後 | 古い年度を見て傾向確認 |
| 基礎固め後 | 古い年度から演習 |
| 直前期 | 最新年度を時間を測って解く |
最初から最新年度を解くと、模試代わりに使えなくなります。
もったいない使い方です。
院試勉強の全体スケジュール

院試勉強は、時期ごとにやることを変えます。
ずっと同じ勉強を続けると、直前期に伸びにくくなります。
大まかな流れは次の通りです。
| 時期 | やること | 目的 |
|---|---|---|
| 3年生の冬まで | 志望先調査、英語、基礎科目 | 選択肢を広げる |
| 3年生の冬〜春 | 過去問確認、参考書選定 | 勉強範囲を決める |
| 4年生の春〜初夏 | 専門科目の基礎固め | 解ける範囲を増やす |
| 4年生の夏 | 過去問演習、解答作成 | 本番形式に慣れる |
| 直前期 | 弱点補強、面接準備 | 失点を減らす |
外部院試では、研究室訪問や出願準備も入ります。
勉強だけで予定を埋めないでください。
特に外部受験では、内部生より情報が入りにくいです。
過去問の場所、研究室訪問の時期、出願書類の締切を早めに確認します。
勉強時間を増やす前に、必要な情報をそろえることが先です。
1月から準備する方は、大学3年1月からの月別準備に沿って予定を作れます。
3年生の冬までに英語を進める
TOEICやTOEFLが必要な大学院を受けるなら、英語は早めに進めます。
英語スコアは、直前期に詰め込みにくいです。
専門科目と同時に追い込むと、どちらも中途半端になります。
目安は次の通りです。
| 状況 | 進め方 |
|---|---|
| TOEIC提出型 | 3年生のうちに受験してスコアを確保する |
| TOEFL型 | 語彙、リスニング、ライティングを早めに始める |
| 独自英語試験 | 過去問で形式を確認する |
英語は「やる気が出たらやる」では遅いです。
受験日を先に決めてください。
スコア提出型の英語は、失敗した時の再受験も考えます。
1回の受験で決めようとすると、専門科目の直前期に英語が残ります。
これはかなり苦しい流れです。
TOEICを提出する方は、院試TOEICの受験・提出期限から受験日を逆算してください。
4年生の春から専門科目を固める
専門科目は、過去問で頻出分野を見てから始めます。
たとえば数学なら、線形代数、微分積分、微分方程式、確率統計のどれが出るかを確認します。
機械系なら、材料、熱、流体、力学の比重を見ます。
参考書は、過去問に合わせて選びます。
有名な本だから使うのではありません。
参考書を選ぶ時は、過去問の大問と対応させます。
たとえば、大問1が毎年線形代数なら、線形代数の章を先に固めます。
「いつか使うかもしれない章」は後回しにしてください。
夏は過去問演習に寄せる
4年生の夏は、過去問演習に寄せます。
この時期に、次の3つを確認します。
| 確認項目 | 判断 |
|---|---|
| 時間内に解けるか | 解く順番を変える |
| 答案が書けるか | 記述の型を作る |
| どこで失点するか | 弱点分野に戻る |
ESCAPEの体験記にも、夏に過去問を何度も解いた受験生がいました。
本番さながらに時間を測ったという声もあります。
この時期は、解ける問題を増やすだけでは足りません。
本番でどの順番で解くかも決めます。
大問1から順番に解く必要はありません。
得点しやすい問題から取る練習も必要です。
院試勉強の基礎編
ここからは、まず土台になる勉強法を整理します。
基礎編は、全受験生が押さえる部分です。
過去問中心で勉強する
院試は、過去問中心で進めてください。
理由は、大学院ごとに出題の癖があるからです。
教科書の全範囲を均等に勉強すると、時間が足りません。
過去問中心とは、過去問だけを解くことではありません。
過去問から逆算して、教科書や参考書に戻ることです。
| NG | OK |
|---|---|
| 参考書を最初から最後まで読む | 過去問で出る章から戻る |
| 解答を見て終わる | 自分で答案を再現する |
| 解けない問題を放置する | 原因を分類して戻る |
過去問を解いたら、必ず原因を分けます。
知識不足なのか、計算力不足なのか、記述力不足なのかを切り分けます。
原因を分けると、次の日の勉強が具体的になります。
知識不足なら教科書に戻る。
計算力不足なら類題を解く。
記述力不足なら答案の型を写す。
この切り替えができると、勉強が迷子になりません。
勉強開始のハードルを下げる
院試勉強は、毎日長時間できる日ばかりではありません。
研究、講義、バイト、研究室訪問が入ります。
だからこそ、勉強開始のハードルを下げてください。
たとえば、最初の5分だけやる内容を決めます。
| 状況 | 5分でやること |
|---|---|
| やる気がない | 前回のノートを開く |
| 疲れている | 英単語を10個だけ見る |
| 時間がない | 過去問1問の条件だけ読む |
| 不安が強い | 今日やらないことを決める |
始める前から完璧な集中を求めないでください。
5分動けば、そのまま続くことがあります。
逆に、5分やっても進まない日は、重い勉強を切り上げても構いません。
その日は英単語、公式確認、過去問の見直しに変えます。
完全にゼロにしないことが目的です。
英語は仕組みで進める
英語は気合いより仕組みです。
毎日やる教材を固定してください。
教材を変えすぎると、進捗が見えなくなります。
TOEICなら、単語、文法、リスニング、模試を分けます。
TOEFLなら、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングを分けます。
| 試験 | 優先すること |
|---|---|
| TOEIC | 単語、文法、リスニング、時間配分 |
| TOEFL | 語彙、要約、メモ取り、英作文 |
| 独自英語 | 過去問形式、和訳、英訳、長文読解 |
英語は短期間で急に伸ばしにくいです。
先にスコアを確保できると、専門科目に集中できます。
英語の勉強は、短い時間でも積み上がります。
通学時間や寝る前の10分を使いやすい分野です。
専門科目のように机に向かわないと進まない勉強と分けて考えてください。
院試勉強の応用編
応用編では、勉強効率を上げる工夫を扱います。
ただし、基礎がないまま使うと効果は薄いです。
まず過去問、英語、専門科目の土台を作ってください。
ワーキングメモリを節約する
難しい問題を解く時は、頭の中だけで処理しないでください。
ワーキングメモリがすぐに埋まります。
式変形、条件、方針は紙に出します。
頭の中に置いたままにしないことが大切です。
| 頭の中に置きがちなもの | 外に出す方法 |
|---|---|
| 問題の条件 | 条件に番号を振る |
| 使う公式 | 余白に先に書く |
| 解く順番 | 大問ごとにメモする |
| 不安な点 | 後で確認欄に書く |
答案作成でも同じです。
考えた順番を残すと、添削してもらいやすくなります。
途中式を残すことは、面接対策にもつながります。
なぜその式を使ったのかを説明できるからです。
答えだけ合っていても、説明できなければ本番で不安が残ります。
ドーパミンに頼りすぎない
やる気が出る日だけ勉強するのは危険です。
やる気は波があります。
本番前に安定して勉強するには、感情よりも手順を固定します。
おすすめは、開始前の行動を固定することです。
| タイミング | 固定する行動 |
|---|---|
| 朝 | 前日に決めた1問を解く |
| 昼 | 英単語を10分見る |
| 夜 | 間違えた問題を1つ直す |
達成感は必要です。
でも、達成感だけを燃料にしないでください。
やる気が落ちた時のために、最低ラインを作っておきます。
たとえば「過去問を1問」ではなく「問題文を読み、使う公式を1つ書く」まで下げます。
最低ラインがあると、崩れた日でも戻りやすくなります。
休憩中も学習を進める
休憩中に、頭が勝手に整理してくれることがあります。
これを前提に、休憩前に問いを残します。
たとえば、解けない問題があったら、次の形で止めます。
「この問題は、どの条件を使えば式が立つのか」
問いを残して休憩すると、戻った時に再開しやすくなります。
ただスマホを見るだけの休憩とは違います。
休憩は、勉強から逃げる時間ではありません。
頭を整理して、次の1手を出しやすくする時間です。
疲れている時ほど、休憩前に問いを1つ残してください。
解けない問題への対処法

院試勉強では、解けない問題が必ず出ます。
そこで止まるか、原因を分けるかで差が出ます。
原因を4つに分ける
解けない原因は、次の4つに分けます。
| 原因 | 対処 |
|---|---|
| 知識不足 | 教科書の該当章に戻る |
| 計算力不足 | 類題を10問解く |
| 記述力不足 | 模範答案の構成を写す |
| 時間不足 | 解く順番を変える |
全部を「頭が悪い」で片づけないでください。
対策できなくなります。
研究経験が浅い人は、現時点で解けない問題を見て不安になります。
でも、過去問分析は検証です。
今後どこを伸ばすかを決める作業だと考えてください。
成果が少ないと感じる時も、原因分けは役に立ちます。
研究経験が浅い人は、専門用語や問題設定に慣れていないだけのことがあります。
まずは問題文の条件を正しく読める状態を作ります。
相談相手と情報の確認先も用意する
ESCAPE合格体験記の合格要因欄には、141件の記入がありました。「仲間・友人・友達」への言及は13件です。情報収集に関する語句への言及は9件ありました。
これは話題に触れた回答数で、相談や情報収集の効果を比較した数字ではありません。同じ回答が両方に含まれることもあります。
行き詰まった問題は、試した解法と止まった箇所をメモしてください。そのメモを使って、教員や学習仲間に質問します。入試制度の情報は、募集要項や窓口で確かめてください。
出典:ESCAPE合格体験記の自由記述集計。集計日:2026年9月4日。
わからない質問を面接対策にも使う
過去問でわからない分野は、面接でも聞かれることがあります。
その時は、完璧な説明を目指すより、10分で説明できる形にします。
| 準備すること | 例 |
|---|---|
| 現時点の理解 | ここまでは説明できる |
| 不明点 | この条件の扱いが弱い |
| 今後の対策 | 教科書の章と過去問で確認する |
面接では、わからない質問への答え方も見られます。
「わかりません」で止めず、今後どう検証するかまで言えるようにします。
よくある質問
院試勉強で迷いやすい点を整理します。
院試勉強はいつから始めるべきですか?
3年生の冬までに、志望先調査と英語を始めてください。
4年生の春から専門科目を本格化できると動きやすいです。
ただし、研究室訪問や出願準備もあります。
勉強だけで予定を埋めないでください。
1日何時間勉強すればいいですか?
時期によって変わります。
春は2〜4時間でも、毎日続ける方が強いです。
夏以降は、過去問演習のためにまとまった時間が必要になります。
時間よりも、何を終わらせたかで管理してください。
参考書は何冊やるべきですか?
最初から冊数で決めないでください。
過去問で頻出分野を確認し、その分野を固める参考書を選びます。
同じ分野で参考書を増やすより、1冊を過去問に接続する方が効果的です。
冊数を決める前に、院試専門科目の参考書の選び方を確認してください。出題範囲との対応を整理できます。
院試勉強で不安になったら何をすべきですか?
不安な時は、タスクを小さくします。
過去問を1年分解く必要はありません。
大問1つの条件を読むだけでも前進です。
不安の正体が情報不足なら、研究室訪問や先輩への相談で解決します。
勉強不足なら、今日やる1問を決めてください。
本番前チェックリスト
本番前は、次の項目を確認してください。
| チェック | OKの基準 |
|---|---|
| 過去問を3年分以上見た | 頻出分野を説明できる |
| 最新年度を残している | 時間を測って解ける |
| 英語スコアの扱いを確認した | 出願に間に合う |
| 専門科目の弱点を分類した | 知識、計算、記述に分けた |
| 面接で聞かれそうな不明点を整理した | 10分で説明練習した |
チェックが埋まらない項目は、直前期の優先タスクです。
まとめ
院試勉強は、過去問分析から始めてください。
そのうえで、英語、専門科目、研究室訪問、面接準備を時期ごとに分けます。
基礎編では、過去問中心、英語の仕組み化、勉強開始のハードルを下げることが大切です。
応用編では、ワーキングメモリを節約し、やる気に頼りすぎず、休憩後に再開しやすい形を作ります。
院試は、長時間勉強した人だけが勝つ試験ではありません。
何をやらないかを決めた人が強いです。
過去問を見て、必要な範囲に絞る。
解けない原因を分ける。
直前期に最新年度で確認する。
この順番で進めてください。


