東大院試の英語対策で最初に見るべきものは、参考書ではありません。
最初に見るべきものは、志望専攻の募集要項と入試案内です。
同じ東京大学大学院でも、英語の扱いは専攻ごとに違います。TOEFL iBTの公式スコアを求める専攻もあります。TOEIC L&Rを認める専攻もあります。専攻独自の英語試験を課す専攻もあります。
つまり、英語対策は「どの試験を受けるか」を決める前に始めると失敗します。この記事では、東大院試を想定しながら、院試英語の確認順と勉強順を整理します。
参考にした公式情報
東大院試の英語対策は募集要項の確認から始める
東大院試の英語は、全専攻で同じ形式ではありません。
そのため、まずは志望専攻ごとに確認します。ここを飛ばすと、勉強した試験が使えないことがあります。
| 確認項目 | 見る場所 | 判断すること |
|---|---|---|
| 使える試験 | 募集要項、専攻入試案内 | TOEFL iBT、TOEIC L&R、独自試験のどれか |
| 提出期限 | 英語スコア提出期限表 | 受験日ではなく、到着期限か登録期限か |
| 提出方法 | スコア提出要項 | 公式スコア送付、PDFアップロード、出願時提出 |
| 有効期限 | 募集要項、提出要項 | 受験日が有効期間内に入るか |
| 複数スコア | 提出要項 | 複数回受験した時の扱い |
東京大学大学院工学系研究科の公式ページでも、出願前に募集要項、志望専攻の入試案内、専攻HPを確認するよう案内されています。
私が受験相談で最初に確認するのも、この5項目です。参考書の相談は、そのあとで十分です。
TOEFL iBT、TOEIC L&R、TOEFL ITPの違い
院試英語では、試験名が似ていて混乱しやすいです。
しかし、使い方はかなり違います。ここを区別すると、勉強計画が一気に立てやすくなります。
| 試験 | 主な特徴 | 院試での注意点 |
|---|---|---|
| TOEFL iBT | Reading、Listening、Speaking、Writingを測る | 公式スコア送付が必要な専攻がある |
| TOEIC L&R | Listening 100問、Reading 100問の選択式 | 提出可否は専攻ごとに確認する |
| TOEFL ITP | Listening、文法、Readingを測る団体向け試験 | 個人受験用ではなく、大学実施型で使われやすい |
TOEFL ITPは、ETS公式情報ではLevel 1が140問、115分、310点から677点のスコアです。Listening、Structure and Written Expression、Reading Comprehensionの3セクションで構成されます。
TOEIC L&Rは、ETS公式情報でListening 100問、Reading 100問と説明されています。試験時間はListening 45分、Reading 75分です。
つまり、TOEFL ITPとTOEIC L&Rはどちらも読解とリスニングが中心です。ただし、TOEFL ITPには文法セクションがあります。院試英語では、この文法対策が差になりやすいです。
東大院試英語で失敗しやすい順番
院試英語の失敗は、英語力不足だけで起きません。
むしろ、確認順のミスで起きます。次の順番は避けてください。
- 先に参考書を買う
- 使える試験を後で確認する
- 提出期限を受験日の締切だと勘違いする
- 公式スコアの送付時間を見落とす
- 併願校ごとに別試験が必要だと直前に気づく
特にTOEFL iBTは、受験して終わりではありません。公式スコアの送付や出願システムへの登録が必要になる専攻があります。
東京大学大学院工学系研究科のTOEFLスコア提出要項でも、TOEFL iBTの公式スコア送付、Appointment Number、Test Taker Score Reportの登録が説明されています。
英語力を上げる前に、まず提出事故を防いでください。
院試英語の勉強順は4段階で考える
試験方式を確認したら、勉強順を決めます。
院試英語は、やみくもに単語帳から始めるより、現状確認から入る方が早いです。
1. 公式情報で試験を固定する
第一志望と併願校で使える試験を表にします。
TOEFL iBTだけでよいのか、TOEIC L&Rも必要なのか、TOEFL ITPの学内受験があるのかを分けます。
2. 直近の過去問と英語要件を並べる
過去問で英語が独自試験かどうかを見ます。
独自試験がある場合は、長文の分野、設問形式、和訳量を確認します。
3. 1回だけ実戦形式で測る
最初から完璧に解く必要はありません。
Listening、文法、Readingのどこで落としているかを見ます。弱点が見えたら、参考書を絞れます。
4. 頻出形式から積み上げる
TOEFL ITPなら、文法とReadingを先に固めます。
TOEIC L&Rなら、Part 5とPart 7を毎日扱います。TOEFL iBTなら、ReadingとListeningを軸にして、SpeakingとWritingを週単位で入れます。
参考書は試験形式ごとに選ぶ
参考書選びで大切なのは、有名さではありません。
志望専攻の試験形式と、今の弱点に合っているかです。
| 目的 | 選ぶ教材 | 避けたい教材 |
|---|---|---|
| TOEFL ITPの文法 | 文法問題が多い問題集 | 長文だけの教材 |
| TOEFL ITPのReading | アカデミック長文の演習 | 日常会話中心の教材 |
| TOEIC L&R | 公式問題集、Part別演習 | Speaking中心の教材 |
| TOEFL iBT | 4技能の公式形式に近い教材 | ITPだけに特化した教材 |
院試では、英語だけで合否が決まるとは限りません。専門科目、面接、研究計画との配分も必要です。
英語に時間を使いすぎると、専門科目が間に合いません。英語は「提出要件を満たす」「足切りを避ける」「専門科目を邪魔しない」の順で考えてください。
東大院試英語のおすすめスケジュール
夏入試を想定するなら、3年生の冬から動くと安全です。
ただし、専攻の提出期限が早い場合は前倒しします。
| 時期 | やること | 目標 |
|---|---|---|
| 3年冬 | 募集要項と併願校の英語方式を確認 | 受ける試験を固定する |
| 3年2月から3月 | 模試形式で現状把握 | 弱点セクションを決める |
| 4年4月から5月 | 公式問題、文法、長文を周回 | 目標点との差を詰める |
| 4年6月以降 | スコア提出と専門科目へ比重移動 | 出願事故を防ぐ |
私なら、第一志望でTOEFL iBTが必須ならTOEFL iBTを最優先にします。併願でTOEIC L&Rが使えるなら、TOEIC L&Rも早めに受けて保険を作ります。
TOEFL ITPを使う専攻では、学内実施の有無を必ず確認します。個人でいつでも受けられる前提で計画を立てると危険です。
よくある質問
最後に、院試英語でよく聞かれる疑問を整理します。
東大院試ではTOEICだけで足りますか?
専攻によります。
TOEIC L&Rを認める専攻もありますが、TOEFL iBTを求める専攻もあります。必ず志望専攻の入試案内で確認してください。
TOEFL ITPだけ勉強すればよいですか?
志望専攻がTOEFL ITPを使うなら有効です。
ただし、TOEFL iBTの公式スコア提出が必要な専攻では代わりになりません。東京大学工学系研究科の提出要項にも、TOEFL ITP等の団体特別受験制度のスコアシートは利用できない旨が記載されています。
英語より専門科目を優先してよいですか?
提出要件を満たせる見込みがあるなら、専門科目を優先します。
英語の期限が早い専攻では、先にスコアを確保してください。英語の提出事故は、専門科目の得点で取り返せません。
ケース別の英語対策
院試英語は、受験生の状況によって最適解が変わります。
ここでは、よくある4パターンに分けます。自分に近いものから見てください。
| 状況 | 最初にやること | 勉強の重点 |
|---|---|---|
| TOEFL iBT必須 | 公式スコア送付の期限を確認 | ReadingとListeningを土台に、SpeakingとWritingを週2回入れる |
| TOEIC L&R提出可 | 最短の受験日を予約 | Part 5、Part 7、Listening先読みを固める |
| TOEFL ITP学内実施 | 実施日と出題形式を確認 | StructureとAcademic Readingを優先する |
| 独自英語あり | 過去問の長文分野と和訳量を確認 | 設問根拠、和訳、要約の練習を増やす |
この表で大切なのは、英語試験名ではなく提出条件から逆算することです。
たとえばTOEFL iBTが必須なら、TOEIC L&Rで高得点を取っても代わりになりません。逆にTOEIC L&Rで提出できるなら、無理にTOEFL iBTへ広げる必要はありません。
併願校で試験が分かれる時は、共通するReadingとListeningを先に伸ばします。そのあと、第一志望で必要な形式へ寄せます。
1週間の勉強メニュー例
英語対策は、毎日少しずつ進める方が安定します。
専門科目と並行するため、長時間を英語だけに使う計画は避けます。
| 曜日 | 内容 | 目安時間 |
|---|---|---|
| 月 | 単語、文法、短めのReading | 60分 |
| 火 | Listening、音読、聞き直し | 45分 |
| 水 | 過去問または公式形式の長文 | 60分 |
| 木 | 文法の間違い直し、語法整理 | 45分 |
| 金 | Listeningと設問先読み練習 | 45分 |
| 土 | 時間を測った演習 | 90分 |
| 日 | ミスの分類、翌週の範囲決め | 30分 |
このメニューは、英語が主役ではありません。院試全体の中で英語を落とさないための計画です。
専門科目が重い週は、英語を45分に縮めても構いません。ただし、Listeningだけは完全に止めないでください。耳は空白期間の影響を受けやすいです。
英語が苦手な人ほど、週末にまとめて勉強しがちです。院試ではそれより、毎日短く続ける方が強いです。
英語対策の完了ライン
最後に、英語対策をどこまでやればよいかを決めます。
終わりを決めないと、英語に時間を使いすぎます。
- 志望専攻の提出条件を満たしている
- 公式スコアの送付方法を確認している
- 提出期限から逆算して受験日を確保している
- 過去問や公式形式で時間配分を確認している
- 専門科目の勉強時間を削りすぎていない
この5つを満たしたら、英語は維持に回して構いません。院試は総合点の勝負です。
英語だけが得意でも、専門科目や面接で崩れると合格は遠のきます。英語の役割を決め、全体の点数を上げてください。
まとめ:院試英語は試験選びで半分決まる
東大院試の英語対策は、単語帳から始めるものではありません。
志望専攻の募集要項、英語スコア提出期限、提出方法を確認することから始めます。そのうえで、TOEFL iBT、TOEIC L&R、TOEFL ITPのどれに集中するかを決めます。
英語対策を早く始めるほど、専門科目に時間を残せます。まずは志望専攻の公式ページを開き、英語方式と提出期限を表にしてください。
今日からやる英語対策チェックシート
最後に、英語対策を行動へ落とします。
次の順番で進めると、確認漏れを減らせます。
| 順番 | やること | 完了の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 第一志望の募集要項を開く | 英語試験名をメモした |
| 2 | 専攻入試案内を読む | 専攻独自の条件を確認した |
| 3 | 提出期限を表にする | 受験日と提出日の違いを分けた |
| 4 | 併願校の英語方式も並べる | 共通する試験を見つけた |
| 5 | 1回だけ実戦形式で解く | 弱点セクションを記録した |
| 6 | 教材を2冊以内に絞る | 解く教材と復習教材を決めた |
| 7 | 週1回だけ進捗を見直す | 翌週の範囲を決めた |
このチェックで抜けやすいのは、提出期限です。
受験日が期限内でも、公式スコアの送付や登録が間に合わなければ使えません。英語は点数だけでなく、提出手続きまで含めて対策です。
迷ったら、英語試験名、提出期限、提出方法の3つを紙に書き出してください。それだけで、今やるべき勉強がかなり絞れます。


