研究テーマが未定でも、研究室訪問をして構いません。むしろ、テーマを固める前に訪問した方がよいケースもあります。
ただし、何も調べずに「何を研究すればいいですか」と聞くのは避けてください。テーマが未定でも、関心の方向性、学んできたこと、読んだ研究紹介、聞きたいことは整理できます。
この記事では、研究テーマ未定で研究室訪問する場合の準備、メールの書き方、当日の質問、避けたい聞き方を整理します。
研究室訪問全体の流れは、研究室訪問のまとめを確認してください。メール文面は研究室訪問メールの書き方で扱っています。
研究テーマ未定でも訪問してよい理由
大学院入試では、入学前に完全な研究テーマが決まっていない人もいます。学部の卒業研究が始まったばかりだったり、外部受験で研究室の詳しい内容がわからなかったりするからです。
研究室訪問は、テーマを確定する場ではなく、研究室との相性や準備すべきことを確認する場です。
東京大学大学院新領域創成科学研究科の研究室紹介ページのように、研究室訪問を随時受け付ける案内を出しているところもあります。公式ページで訪問の扱いを確認してから連絡してください。

未定でも整理しておく5項目
研究テーマが未定でも、次の5つは整理できます。
- 興味のある分野
- 学部で学んだ授業や実験
- 読んだ研究室紹介や論文
- 志望研究室に惹かれた理由
- 訪問で確認したいこと
ここまで整理できていれば、先生も相談に乗りやすくなります。
避けたい聞き方
テーマ未定で訪問するときに避けたいのは、丸投げに見える聞き方です。

| 避けたい聞き方 | よい聞き方 |
|---|---|
| 何を研究すればいいですか | 〇〇に関心があります。この研究室ではどのテーマと近いでしょうか |
| 自分でも入れますか | 入試までに補うべき分野はありますか |
| 楽なテーマはありますか | 修士の学生はどのようにテーマを決めていますか |
| 過去問は何が出ますか | 過去問対策ではどの分野を重点的に見るべきですか |
聞き方を変えるだけで、印象はかなり変わります。自分で調べた上で、研究室の中にいる人でないとわからないことを聞いてください。
訪問前に見るべき公式情報
研究室訪問の前には、公式情報を確認します。
- 研究科の募集要項
- 研究室ホームページ
- 教員の研究紹介
- 最近の論文や発表
- 説明会や研究室訪問の案内
募集要項や公式情報の見方は、院試で最初に見るべき一次情報にまとめています。古いまとめ記事だけで判断しないでください。
京都大学大学院生命科学研究科の入試FAQでは、研究室訪問を随時受け付けています。希望する研究室の教員へ事前に連絡するよう案内しています。志望先の公式案内があるなら、必ず先に確認します。
メールでは未定であることをどう書くか
研究テーマが未定の場合は、正直に書いて構いません。ただし、未定であることだけを強調しないでください。
先生の研究室で扱われている〇〇分野に関心があります。
具体的な研究テーマはまだ検討中ですが、
学部では△△を学んでおり、□□の観点に興味を持っています。
もし可能でしたら、大学院での研究テーマの考え方や、
入学前に補うべき分野についてお話を伺えないでしょうか。このように、未定であること、関心の方向、相談したい内容を一緒に書きます。
当日に聞くべき質問
訪問当日は、テーマを決めてもらうのではなく、テーマを考える材料を集めます。
- 修士の学生はどの時期に研究テーマを決めますか
- 外部生が入学前に補うべき分野はありますか
- 研究室ではどのようなテーマが進んでいますか
- 卒業研究と違う分野から入る人はいますか
- 入試面接では研究関心をどの程度説明できる必要がありますか
質問は、研究内容、指導スタイル、入試準備、入学後の生活に分けると聞きやすいです。
研究計画書が必要な場合
研究計画書が必要な研究科では、テーマ未定のまま放置するのは危険です。
訪問後は、研究室で聞いた話をもとに、関心の範囲を狭めます。研究計画書では、立派なテーマ名より、何を明らかにしたいのか、なぜその研究室で行うのかが大切です。
書き方は、研究計画書の書き方を参考にしてください。
外部受験生が気をつけること
外部受験生は、内部生より情報が少ないです。だからこそ、研究室訪問で確認できることは多いです。
一方で、外部生は研究室文化や専門科目の前提を知らないことがあります。訪問前に、研究室ページと募集要項を読み、最低限の用語は確認してください。
外部受験全体の準備は、院試勉強の開始時期や過去問の使い方とも関係します。訪問で得た情報を勉強計画に反映してください。
訪問後にやること
訪問後は、聞いた話をその日のうちにメモへ整理します。
| 訪問で得た情報 | 次の行動 |
|---|---|
| 興味に近いテーマ | 関連論文や研究紹介を読む |
| 補うべき専門分野 | 参考書と過去問に反映する |
| 面接で説明すべき内容 | 1分説明を作る |
| 研究室生活の特徴 | 志望理由に反映する |
研究室訪問は、行って終わりではありません。訪問後に勉強計画や志望理由が変わらないなら、得た情報を使えていません。
まとめ:未定でも、関心の方向は準備する
研究テーマ未定でも研究室訪問はできます。
ただし、未定をそのまま丸投げしないでください。興味のある分野、学んできたこと、読んだ研究紹介、聞きたいことを整理してから連絡します。
先生にテーマを決めてもらうのではなく、自分がテーマを考えるための材料を集める。この姿勢で訪問すれば、研究テーマ未定でも前向きな相談になります。
ケース別の伝え方
研究テーマ未定といっても、状況はいくつかあります。自分の状態に合わせて伝え方を変えてください。
| 状態 | 伝え方 | 準備すること |
|---|---|---|
| 分野は決まっている | 〇〇分野に関心があります | 研究室のテーマとの接点を探す |
| 授業で興味を持った | 〇〇の授業で△△に関心を持ちました | 授業内容と研究紹介をつなげる |
| 卒研と違う分野に行きたい | 現在は〇〇を学んでいますが、大学院では△△に関心があります | 不足する基礎を確認する |
| 完全に迷っている | 複数分野を比較している段階です | 比較軸を3つ作る |
完全に迷っている場合でも、比較軸は作れます。扱う対象、使う手法、将来の進路、研究室の雰囲気などです。
比較軸があると、先生に聞く質問も具体的になります。何を研究すればよいかではなく、どの観点でテーマを考えるとよいかを相談できます。
研究テーマ未定のメール例
メールでは、未定であることを隠す必要はありません。次のように書けば、丸投げに見えにくくなります。
〇〇先生
突然のご連絡失礼いたします。
〇〇大学〇〇学部〇年の〇〇と申します。
現在、貴研究科の大学院進学を検討しております。
具体的な研究テーマは検討中ですが、
学部で学んだ〇〇をきっかけに、先生の研究室で扱われている△△に関心を持ちました。
もし可能でしたら、研究室での研究内容や、
入学前に補うべき分野についてお話を伺えないでしょうか。
候補日時は以下の通りです。
・〇月〇日 〇時以降
・〇月〇日 午前
・〇月〇日 〇時から〇時
お忙しいところ恐れ入りますが、ご検討いただけますと幸いです。
氏名このメールでは、未定であること、関心のきっかけ、相談したい内容が入っています。これなら、先生も返事をしやすくなります。
訪問前チェックリスト
研究テーマ未定の人ほど、訪問前のチェックが大切です。
- 研究室ページを読んだ
- 教員の研究キーワードを3つ書いた
- 自分の関心分野を1つ以上書いた
- 質問を5つ作った
- 募集要項と入試科目を確認した
- 訪問後に何を決めるか決めた
訪問後に決めることまで考えておくと、研究室訪問がただの相談で終わりません。志望度、補う科目、研究計画の方向性、次に読む資料を決めます。
テーマ未定で面接を受ける場合
入試面接までテーマが曖昧な場合は、危険です。ただし、完全に決まっていなくても、関心の方向と理由は説明できるようにしてください。
面接では、「まだ決まっていません」で終わらせないことが大切です。
- 〇〇に関心がある
- その理由は△△である
- 入学後に□□を学びながら絞りたい
- 入学前にはこの分野を補う
面接準備は、院試面接対策も参考にしてください。緊張が強い人は、院試ロードマップで全体の準備も見直すと不安が下がります。
よくある質問
テーマ未定だと失礼ですか
未定であること自体は失礼ではありません。失礼に見えるのは、何も調べずに相手へ丸投げすることです。
研究室ページを読み、自分の関心を整理した上で相談するなら、前向きな訪問になります。
訪問でテーマを決めてもらってよいですか
先生にテーマを決めてもらう場ではありません。テーマを考える材料をもらう場です。
訪問後に、自分で研究紹介や論文を読み、研究計画へ落とし込んでください。
複数の研究室に訪問してもよいですか
複数の研究室を比較することはあります。ただし、各研究室に対して丁寧に準備してください。
比較する場合は、研究内容、指導体制、入試科目、入学後の生活を同じ軸で見ます。なんとなく雰囲気だけで選ばないようにしましょう。
研究テーマの候補を3段階で作る
訪問前に、研究テーマの候補を3段階で作っておくと相談しやすくなります。
| 段階 | 書く内容 | 例 |
|---|---|---|
| 広い関心 | 興味のある分野 | 機械学習、材料、教育、都市計画 |
| 近い問い | 何を知りたいか | データから行動を予測できるか |
| 研究室との接点 | 先生の研究と重なる点 | 〇〇の手法が近い |
いきなり研究テーマ名を作ろうとすると難しいです。まずは広い関心を書き、次に問いへ変え、最後に研究室との接点を探します。
この3段階をメモして訪問すれば、先生に相談するときも話が具体的になります。
訪問後に志望度を判断する
研究テーマ未定の人は、訪問後に志望度を判断する軸を持ってください。
- 研究内容に興味を持てたか
- 入学前に補うべき分野が見えたか
- 先生や学生との会話が具体的だったか
- 2年間続けるイメージが持てたか
- 入試対策に落とし込めたか
研究室訪問でよい雰囲気だったとしても、研究内容に興味が持てないなら慎重に考えます。逆に、少し難しそうでも、補うべき分野が明確なら準備できます。
テーマ未定のまま出願するリスク
テーマ未定のまま出願すること自体が絶対に悪いわけではありません。ただし、面接や研究計画書で説明できない状態は危険です。
少なくとも、関心分野、志望研究室との接点、入学後に学びたいことは言えるようにしてください。
出願前にここまで言語化できない場合は、研究室訪問、説明会、過去問確認、研究紹介の読み直しを急ぎます。
訪問後のメモ例
研究室訪問後は、記憶が新しいうちにメモを作ります。メモはきれいな文章でなくて構いません。次の行動が決まれば十分です。
| メモ項目 | 書くこと |
|---|---|
| 興味が強まった点 | どの研究テーマに惹かれたか |
| 不安が残った点 | 専門知識、研究生活、入試科目など |
| 次に読むもの | 研究室ページ、論文、参考書 |
| 入試対策に反映すること | 専門科目、研究計画、面接回答 |
訪問後のメモがあると、志望理由や研究計画書が書きやすくなります。研究テーマ未定の人ほど、訪問で得た材料をその日のうちに整理してください。
研究テーマは一度で決めなくてよい
研究テーマは、訪問したその日に完全に決めなくて構いません。先生の話を聞いた後で、研究紹介を読み直し、過去問や入試科目との相性も見て判断します。
ただし、先延ばしにしすぎると研究計画書や面接準備が遅れます。訪問後1週間以内に、候補テーマを2〜3個に絞ることを目標にしてください。
候補を絞るときは、興味だけでなく、入試までに説明できるかも見ます。面接で自分の言葉で話せるテーマは、準備しやすいテーマです。
テーマ未定の不安は、行動すると小さくなります。研究室訪問、公式情報確認、過去問確認をセットで進めてください。
迷ったまま止まるより、仮のテーマを置いて調べる方が早いです。調べながら修正すれば、研究計画も具体的になります。
参考にした一次情報・研究
大学院入試や研究室訪問の扱いは、研究科や年度で変わります。この記事では、次の公式情報と研究を参考にしています。


