東京都立大学大学院の2025年度前期課程は、受験者1,233人に対して合格者806人で、受験者数を合格者数で割った実質倍率は1.53倍です。ただし、これは秋期入学を除く7研究科の合計です。志望する研究科や専攻によって人数も選抜内容も異なるため、大学全体の数字だけでは自分の受験先の難しさは分かりません。
研究科別では、人文科学2.69倍、理学1.61倍、都市環境科学1.34倍、システムデザイン1.28倍などの違いがあります。まず志望研究科の行で受験者と合格者を見て、次に専攻・学域へ範囲を絞ると、倍率を受験準備に使いやすくなります。
この記事は、2026年10月13日に確認した東京都立大学の公式入試状況を基にしています。確認できた全研究科共通の表は2025年度のため、以下は2025年度実績として扱います。これから受ける試験の日程や条件は、後半で案内する現行の募集要項と分けて確認する構成です。
東京都立大学大学院の倍率を研究科別に比較
最初に、公式表の研究科別小計をまとめます。対象は前期課程、つまり修士取得を目指す課程で、秋期入学は含みません。博士後期課程と法科大学院の専門職学位課程もこの表の対象外です。人数は公式表の実数、実質倍率は「受験者÷合格者」で計算し、小数第3位を四捨五入しています。
| 研究科 | 志願者 | 受験者 | 合格者 | 入学者 | 実質倍率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 人文科学 | 195人 | 156人 | 58人 | 39人 | 2.69倍 |
| 法学政治学(法学政治学専攻) | 13人 | 12人 | 2人 | 1人 | 6.00倍 |
| 経営学 | 121人 | 110人 | 50人 | 40人 | 2.20倍 |
| 理学 | 294人 | 275人 | 171人 | 144人 | 1.61倍 |
| 都市環境科学 | 267人 | 247人 | 185人 | 159人 | 1.34倍 |
| システムデザイン | 381人 | 360人 | 282人 | 246人 | 1.28倍 |
| 人間健康科学 | 73人 | 73人 | 58人 | 54人 | 1.26倍 |
| 合計 | 1,344人 | 1,233人 | 806人 | 683人 | 1.53倍 |
出典:東京都立大学「2025年度 入試状況(研究科)」の「前期課程(秋期入学を除く)」。合計倍率は1,233÷806で算出しており、7研究科の倍率の単純平均ではありません。研究科内の専攻・学域の実数も同じ公式ページで確認できます。
高い倍率・低い倍率の両方で人数を見る
法学政治学研究科の6.00倍は目立ちますが、内訳は受験12人・合格2人です。大人数の試験で6倍になったケースと、少人数の選抜で6倍になったケースでは、数字の変動の仕方が違います。過年度と比較するときも倍率だけを並べず、何人受験し何人合格した年なのかを残しておくと、変化の理由を考えられます。
一方、1倍台だからといって、勉強が少なくても合格できるわけではありません。この表が示すのは実際に受験した人と合格した人の人数です。受験に至るまでにどの程度準備したか、どの研究室を志望したか、試験で何点取ったかまでは表に含まれていません。
志望先を選ぶ段階では、倍率を「候補を調べる順番を決める材料」として使い、出願するかどうかは研究内容と試験科目を重ねて判断するのが現実的です。自分の学んできた分野と近い2倍の専攻と、前提知識が大きく異なる1.3倍の専攻では、必要な準備量が逆転することもあります。これは個別の合否予測ではなく、数字と準備負担を分けて考えるための比較です。
倍率は何で割る?志願者・受験者・合格者の違い
同じ東京都立大学大学院でも、記事や資料によって倍率の値が違うときは、まず計算式を見ます。志願者、受験者、合格者、入学定員のどれを使うかで結果が変わるからです。この記事では実際の受験者と合格者の比を主指標にしています。

| 指標 | 計算式 | 2025年度前期課程の合計で計算 |
|---|---|---|
| 実質倍率 | 受験者数÷合格者数 | 1,233÷806=1.53倍 |
| 志願倍率(本記事での定義) | 志願者数÷入学定員 | 1,344÷690=1.95倍 |
| 志願者数と合格者数の比 | 志願者数÷合格者数 | 1,344÷806=1.67倍 |
公式表には入学定員690人が掲載されています。ただし、入学定員は、個々の一般選抜や冬季入試で募集する人数と同じとは限りません。「志願倍率」という名称も資料によって式が異なるため、名称だけをそろえて他大学の数値と比較するとずれが生じます。
出願した人数と当日受験した人数は異なる
人文科学研究科では、志願195人・受験156人・合格58人です。受験者÷合格者なら2.69倍、志願者÷合格者なら3.36倍になります。どちらか一方の数字が誤りとは限らず、計算に使った人数が違います。受験者のうち何人が合格したかを見たいなら前者、出願数に対する合格数を見たいなら後者を選びます。
志願者と受験者の差から、欠席理由まで読み取ることはできません。別大学の合格で受けなかったのか、別の事情があったのかは、この集計だけでは分からないためです。「欠席が多いから実際は楽」といった判断を加えるより、志望する専攻の試験内容を確かめる方が準備に結び付きます。
入学者数を合格者数の代わりにしない
全体の合格者は806人、入学者は683人です。入学者は合格後に実際に入学した人数なので、受験者を入学者で割った数字を合否の倍率として使うと意味が変わります。また、合格者と入学者の差だけを見て、全員が他大学へ進んだと断定することもできません。
他の大学院との比較メモには、大学名・研究科名・対象年度・課程・選抜区分・計算式を一緒に書いておくと便利です。一方は一般選抜だけ、もう一方は選抜全体という比較では、割り算が正しくても同じ条件の比較にはなりません。
同じ研究科でも専攻・学域で倍率は変わる
研究科の小計を見た後は、公式表の専攻・学域の行へ進みます。都立大の表は、例えば人文科学なら専攻、システムデザインなら学域、経営学ならプログラムまで分かれています。以下もすべて2025年度前期課程・秋期入学を除く実績です。
理学研究科は4専攻の試験内容と合わせて見る
理学研究科では、数理科学が受験54人・合格32人で1.69倍、物理学が79人・49人で1.61倍、化学が78人・44人で1.77倍、生命科学が64人・46人で1.39倍です。研究科全体の1.61倍だけでは、この違いは見えません。
ただし、数理科学から生命科学へ志望を変えれば数字の差の分だけ合格しやすくなる、という読み方はできません。専門分野が変わると、既修内容や研究テーマとの接点も変わります。理学研究科の入試案内で志望専攻の募集要項と過去問の案内を確認し、自分が解くべき問題の範囲まで見てから判断を進めます。
例えば、これまでの授業や卒業研究で使っている知識を整理した上で、過去問を「解ける」「復習すれば解けそう」「未履修」に分けます。倍率が近い候補でも、未履修の範囲が広ければ、その分野の学習時間が必要です。最初の比較は合格点の予想ではなく、準備の出発点をそろえる作業になります。
都市環境科学・システムデザインは学域まで絞る
都市環境科学研究科では、建築学域が受験68人・合格50人で1.36倍、観光科学域が29人・15人で1.93倍、都市政策科学域が31人・17人で1.82倍です。研究科小計の1.34倍と、特定の学域の数字には差があります。志望する研究テーマがどの学域に属するかを確認してから、該当行を読むことになります。
システムデザイン研究科では、情報科学域が受験55人・合格45人で1.22倍、機械システム工学域が103人・87人で1.18倍、航空宇宙システム工学域が61人・42人で1.45倍、インダストリアルアート学域が49人・33人で1.48倍です。いずれも学域全体の実績であり、希望する研究室だけの倍率ではありません。
過去の表の組織名と、これから受ける募集要項の名称が一致しないこともあります。2025年度表のシステムデザイン研究科には「電子情報システム工学域」とある一方、現在の大学院入試概要では「電気電子工学域」が掲載されています。名前の近さだけで試験科目や募集範囲まで同じとせず、システムデザイン研究科の公式案内から現行の募集単位を確認する必要があります。
人文・法学政治・経営・人間健康科学の少人数にも注意
人文科学研究科では、社会行動学専攻が受験55人・合格17人で3.24倍、人間科学専攻が65人・25人で2.60倍です。文化基礎論専攻は19人・7人で2.71倍、文化関係論専攻は17人・9人で1.89倍でした。研究科の総数を見てから志望専攻へ絞る意味が、ここでも分かります。
法学政治学専攻は、法律学分野が受験3人・合格2人、政治学分野が受験9人・合格0人です。合格者が0人の行は割り算ができないため、実質倍率は算出できません。これを0倍とすると、競争がなかったかのような誤解を招きます。法律学の研究を目指す課程と、法曹養成を目的とする法科大学院も、同じ表に混ぜずに検討します。
経営学研究科では、経営学プログラムが受験81人・合格33人で2.45倍、経済学プログラムが15人・8人で1.88倍、ファイナンスプログラムが14人・9人で1.56倍です。プログラムごとに関心や準備する内容を照らし合わせる方が、研究科全体の2.20倍だけで判断するより具体的です。
人間健康科学研究科では、理学療法科学域が受験27人・合格18人で1.50倍、作業療法科学域が11人・7人で1.57倍です。放射線科学域は受験19人・合格19人で1.00倍ですが、これはその年度の実績です。今後の入試で出願すれば全員合格するという意味ではなく、資格・専門知識・研究課題など、自分が受ける区分で求められる条件は別に確認します。
外部受験の難易度は研究科の倍率だけでは決まらない
今回の公式集計は、内部生・外部生の人数を分けていません。そのため、1.53倍を「外部生の倍率」として使うことはできず、都立大出身者以外の合格率も計算できません。外部から受ける人にとっては、数字の推測を増やすより、志望先との接点と必要な準備を具体化する方が役立ちます。

研究科の合格人数は希望研究室の受入人数ではない
研究科や学域に多くの合格者がいても、その人数が自分の希望する教員の受入枠を示しているわけではありません。研究テーマ、指導を希望できる教員、募集要項に記載された事前相談の手順を順に確認すると、倍率表では見えない条件が分かります。
事前連絡の要否は研究科・専攻・選抜区分の案内に従います。すべての都立大受験で研究室訪問が必須だと決めつける必要はありません。連絡が求められている場合には、研究したい内容と現在までの学習・研究経験を整理し、指定された時期と方法で相談します。連絡文に迷うときは、院試の事前相談メールの書き方で、宛先と伝える内容を整理できます。
一般・特別選抜、夏季・冬季を混ぜて判断しない
大学院の入試には、研究科によって複数の選抜区分や実施時期があります。2025年度の全体表にその内訳がない以上、研究科の倍率を特定の一般選抜や冬季入試の倍率へ置き換えることはできません。募集人数や出願資格も、実際に受ける区分の要項で見る必要があります。
冬季入試があることと、夏季と同じ募集枠・試験内容で受けられることは別です。出願時期が遅いだけで準備を短縮できるとは限らず、研究科によっては募集する学域等の確認も必要になります。外部受験の基本的な準備差は院試の内部生と外部生の違いで整理し、都立大固有の条件は最新要項へ戻って照合すると、一般論と個別条件が混ざりません。
2027年入学を考える人は実績表と現行要項を分けて読む
倍率の対象年度と、試験を受ける年・入学する年はそれぞれ違います。2025年度実績を読んでいる人が2027年4月入学を目指すなら、過去の結果は比較材料、2027年入学の募集要項は手続きと試験準備の基準になります。過去の結果表に載る日付や人数から、次の募集日程を推定することはできません。
大学全体の一覧から志望研究科の要項へ進む
東京都立大学の大学院入試概要には、研究科・課程・区分ごとの日程と詳細情報へのリンクがまとまっています。まず志望する研究科を探し、博士前期課程であること、希望する入学年月であること、受ける選抜区分が合っていることを確認します。その後、大学院学生募集要項の入口や研究科サイトから要項本文へ進みます。
同じ一覧に「2026年10月入学」「2027年4月入学」や博士後期課程が並ぶことがあります。似た名前の行を読んでしまうと、出願期間だけでなく資格や提出書類まで取り違えかねません。保存するファイル名に入学年月・研究科・課程・区分を含めておくと、後から比較するときにも対象が分かります。
日程表だけでは、出願書類の必着時刻、英語成績の提出方法、証明書の形式などを把握しきれません。大学全体の募集要項一覧にも古い入学年度が残る欄があるため、リンク先の研究科で最新の対象年度を照合します。募集要項に加え、訂正・追加のお知らせが出ていないかも同じ研究科の案内で確認します。要項の改訂があれば、以前保存したファイルと最新版のどちらを使っているかを明確にしておくと安心です。
過去の倍率を更新するときも母集団をそろえる
後日2026年度の実績が公表された場合は、2025年度と同じ前期課程・秋期入学除外の表かを確かめてから比較します。新しい数字が見つかっても、それが学部入試や法科大学院だけの結果なら、ここに示した7研究科の実績を更新する根拠にはなりません。
比較の際には、研究科の名称や組織、区分の変更にも目を向けます。対象が変わった行の倍率をそのまま前年差にすると、入試が難化したのか、集計範囲が変わったのかを区別できません。受験者と合格者の増減まで確かめた上で、次の年度の募集要項に変更がないかを合わせて見ると、過去データを使う意味が出てきます。
倍率を調べた後に進める受験準備
倍率を見て不安になったまま検索を続けるより、一度、志望先の条件を一枚にまとめると準備が進みます。最初から細かい週間計画を作る必要はありません。研究内容、試験科目、提出物、期限の四つが分かれば、何を先に進めるかを決められます。

| 確認するもの | 志望先について書き出す内容 | 次に進める作業 |
|---|---|---|
| 研究内容 | 学域・専攻、関心のある教員、研究テーマとの接点 | 教員紹介や論文を読み、相談事項を整理する |
| 試験科目 | 要項にある専門科目、英語、面接等の扱い | 過去問を見て既習・未習の範囲を分ける |
| 提出物 | 研究計画書、成績証明書、英語成績など実際に必要なもの | 様式、発行・受験にかかる時間を確認する |
| 期限 | 出願、事前相談、成績提出、試験、手続きの各期限 | 期限が早いものから予定へ入れる |
過去問は倍率の数字を準備時間へ変える材料
例えば、倍率は低めでも過去問に未履修の分野が多ければ、基礎の学習から時間を取る必要があります。逆に、倍率が高めでも自分の卒業研究や授業と重なる分野が明確なら、何を伸ばすべきかを具体化しやすくなります。倍率の高低だけで出願を決める前に、一年分でも問題の形式と範囲を見ておく価値があります。
過去問の入手方法や公開範囲は研究科の案内に従います。問題が手元に来たら、解答を完成させる前に科目・設問数・解答形式を確認し、使う参考書や演習範囲へつなげます。進め方の基本は院試の過去問をいつから解くかにまとめていますが、実際の対象科目は都立大の志望先の要項を基準にします。
併願は倍率より科目と日程の重なりを確かめる
複数の大学院を考えるなら、それぞれの倍率に加えて、試験日、必要な英語成績、専門科目、研究計画書の内容を並べます。別々の専門分野の対策が必要な2校と、基礎科目の準備を共有できる2校では負担が異なります。低い倍率の大学を追加するだけでは、全体の準備が楽になるとは限りません。
都立大を第一志望とする場合も、他校に進む意思があるか、試験日が重ならないか、合格後の手続き期限を管理できるかまで含めて検討します。校数の決め方は院試は何校併願するかを参考にしつつ、まず今回の志望研究科で必要な準備を確定させると、追加できる範囲が見えてきます。
東京都立大学大学院の倍率でよくある疑問
最後に、公式表を見るときに迷いやすい点をまとめます。表で分かる実績と、別の資料が必要な条件を分けて読むための確認です。
都立大大学院の倍率は1.53倍と考えてよいですか?
2025年度の前期課程全体・秋期入学を除く実質倍率としては1.53倍です。志望研究科や専攻、これから受ける選抜の倍率を一律に表す数字ではありません。
外部生の合格率は分かりますか?
今回の公式表には内部・外部別の人数がなく、計算できません。外部受験では、志望先の出願資格、研究内容、試験科目、必要な事前相談を個別に確認します。
法科大学院の倍率もこの表に含まれますか?
含まれません。表の法学政治学研究科は法学政治学専攻の前期課程です。法曹養成専攻の専門職学位課程は、都立大法科大学院の入試案内で別に確認します。
合格者が0人の専攻は0倍ですか?
0倍ではありません。受験者数を0で割れないため、実質倍率は算出不可です。倍率の欄だけを見るより、「受験者何人・合格者0人」という実数を確認する方が正確です。
2026年に確認した記事なのに2025年度実績なのはなぜですか?
2026年10月13日時点で、大学公式の全研究科共通の入試状況として確認できた表が2025年度だったためです。確認した年と統計の対象年度を分けて記載しています。
まとめ:志望研究科の実数を確認し、試験内容へ進む
東京都立大学大学院の2025年度前期課程は、秋期入学を除いて受験1,233人・合格806人、実質倍率1.53倍でした。研究科ごとの数字を見た後、志望する専攻・学域へ絞り、受験者と合格者の人数まで確認すると、自分が見ている倍率の範囲が分かります。
次に読むのは、希望する入学年月・課程・選抜区分の募集要項です。研究テーマとの接点、試験科目、提出物、期限を整理し、過去問から準備する内容を決めていけば、倍率は漠然と不安になるための数字ではなく、志望先を調べる出発点として使えます。
