電気通信大学大学院の2026年4月入学・博士前期課程は、一般入試の受験者が554人、合格者が356人でした。受験者数÷合格者数で計算した実質倍率は1.56倍です。一方、大学の公式表に載る「志願倍率」は1.9倍。この二つは分母も分子も異なり、どちらかが間違っているわけではありません。
大学院の倍率を調べると、学部入試の数字や、一般・推薦をまとめた数字も出てきます。外部から受験するなら、まず自分が受ける課程・専攻・方式をそろえて見ると、数字の意味がはっきりします。本記事では電通大の情報理工学研究科・博士前期課程に絞り、専攻別の結果と、倍率を見た後に何を調べればよいかを整理します。
結果の基準は2026年4月入学です。2026年9月26日時点で、大学の「過去の志願・選抜状況」に掲載されている最新年度を使用しています。2027年4月入学向けの募集要項は、試験制度を説明する資料として分けて参照します。
電気通信大学大学院の倍率は?2026年の一般入試を専攻別に見る
一般入試の実質倍率は、専攻によって1.06〜1.92倍でした。全体の1.56倍だけを見るより、志望する専攻の受験者数と合格者数を並べた方が、選抜結果を具体的につかめます。以下はすべて2026年4月入学・博士前期課程の一般入試です。

| 専攻 | 募集人員 | 志願者 | 公式の志願倍率 | 受験者 | 合格者 | 実質倍率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 情報学 | 78人 | 188人 | 2.4倍 | 177人 | 92人 | 1.92倍 |
| 情報・ネットワーク工学 | 90人 | 185人 | 2.1倍 | 175人 | 105人 | 1.67倍 |
| 機械知能システム学 | 63人 | 109人 | 1.7倍 | 107人 | 69人 | 1.55倍 |
| 基盤理工学 | 81人 | 97人 | 1.2倍 | 95人 | 90人 | 1.06倍 |
| 合計 | 312人 | 579人 | 1.9倍 | 554人 | 356人 | 1.56倍 |
出典:電気通信大学「2026年度 入学者選抜状況」博士前期課程。募集人員・人数・志願倍率は公式表の値です。実質倍率は受験者数÷合格者数を計算し、小数第3位を四捨五入しました。表は横にスクロールできます。
志願倍率1.9倍と実質倍率1.56倍の違い
公式の志願倍率は「志願者数÷募集人員」です。全体では579÷312≒1.9となり、募集枠に対して何人が出願したかを表します。これに対し、本記事の実質倍率は「受験者数÷合格者数」で、554÷356≒1.56です。実際に試験を受けた人数と、合格した人数の関係を示しています。
情報学専攻で確かめると、188人が志願し、177人が受験し、92人が合格しています。志願倍率2.4倍をそのまま「受けた人の約2.4人に1人が合格」と読むと、分母が募集人員から合格者数へすり替わってしまいます。出願者が全員受験するとは限らず、合格者数も募集人員と同じではないためです。
また、合格者と入学者も別の人数です。一般入試全体の入学者は317人ですが、この人数で受験者を割っても、試験の合格しやすさを表す実質倍率にはなりません。他大学と比較するときも、見出しの「倍率」だけでなく、何を何で割った値なのかをそろえる必要があります。
低い倍率から分からないこと
2026年の基盤理工学専攻は95人が受験し、90人が合格しています。この結果から言えるのは、その年の専攻全体の実質倍率が1.06倍だったことまでです。合格に必要な点数、受験者の専門知識、志望研究室ごとの受け入れ状況は、この表に載っていません。
倍率は、準備量を決めるための合格保証ではありません。たとえば、情報系の授業を中心に履修した人が、倍率の低さだけで別分野の専攻を選ぶと、試験科目を学び直す負担が増えます。自分が研究したい内容と、試験で示せる専門性を重ねて考える方が、志望先を選ぶ判断につながります。
推薦入試の倍率と一般入試を分けて考える
推薦入試は、2026年4月入学で261人が受験し、252人が合格しました。実質倍率は1.04倍です。ただし、推薦は出願の段階で成績や推薦などの条件があり、一般入試と同じ受験者集団を二つの方法で選んでいるわけではありません。
| 専攻 | 志願者 | 受験者 | 合格者 | 実質倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 情報学 | 77人 | 77人 | 72人 | 1.07倍 |
| 情報・ネットワーク工学 | 76人 | 75人 | 74人 | 1.01倍 |
| 機械知能システム学 | 57人 | 57人 | 54人 | 1.06倍 |
| 基盤理工学 | 52人 | 52人 | 52人 | 1.00倍 |
| 合計 | 262人 | 261人 | 252人 | 1.04倍 |
出典:前掲の2026年度入学者選抜状況。実質倍率は一般入試と同じ式で計算しています。基盤理工学専攻の1.00倍も、その年度の結果であり、次の入試で全員が合格するという意味ではありません。
推薦を検討する順番は「倍率」より「出願資格」
2027年4月入学向けの推薦入試要項では、学科等の成績が概ね上位3分の1以内の人、または志望専攻の特定研究分野に優れた人などを対象とする条件が示されています。さらに、所属大学の組織の長と指導教員等による推薦や、合格した場合に入学を確約できることなどが求められます。具体的な資格の組み合わせは、博士前期課程推薦入試の募集要項で確認できます。
つまり、推薦は「倍率が低いから誰でも選べる一般入試の代わり」ではありません。自分が条件を満たすか、学内で推薦書を依頼できるか、合格したら進学先を確定できるかを先に整理します。成績が上位3分の1かどうかを、独自のGPA換算だけで決めるのも避けたいところです。成績の証明方法と専攻ごとの条件を照らし合わせて判断します。
推薦の合格者数を一般入試の枠から引かない
一般入試の受験者が「推薦で252人受かっているから、一般の312人枠はさらに減る」と計算する必要はありません。結果表は方式別に募集人員を分けており、2026年の推薦は208人、一般は312人と記載されています。異なる方式の数字を二重に差し引くと、実際とは異なる競争率ができてしまいます。
2027年4月入学向けの一般入試要項では、推薦入試の合格者が募集人員に満たない場合、その不足人数を一般入試・社会人入試の募集人員に加える扱いが説明されています。ただし、これは当該年度のルールです。これから出願する年度の募集人員や取り扱いは、その年度の要項で確かめます。
2024〜2026年の推移は一般入試同士で比較する
直近3年の一般入試全体では、実質倍率が1.43倍、1.53倍、1.56倍と推移しています。比較の条件を「4月入学・博士前期課程・一般入試」に固定することで、推薦の人数や博士後期課程の結果が混ざるのを防げます。
| 入学年 | 受験者 | 合格者 | 実質倍率 |
|---|---|---|---|
| 2024年4月 | 510人 | 357人 | 1.43倍 |
| 2025年4月 | 537人 | 351人 | 1.53倍 |
| 2026年4月 | 554人 | 356人 | 1.56倍 |
出典:2024年度結果、2025年度結果、前掲の2026年度結果。各年の受験者数÷合格者数から計算しています。倍率の平均ではなく、各年度の合計人数を使った値です。
倍率の上昇と試験問題の難化は別の話
3年間で受験者は510人から554人へ増え、合格者は357人から356人と、全体の人数では近い水準でした。この範囲では、受験者の増加を伴って実質倍率が上がっています。ただし、それだけで「問題が年々難しくなった」「同じ得点では受かりにくくなった」とまでは言えません。問題の難易度や得点分布は、人数の表から読み取れないためです。
また、全体の倍率は各専攻の人数を合計した値なので、受験者が多い専攻の影響を受けます。志望先を比較する場面では、まず自分の専攻の結果を見て、その後に研究科全体の動きを補助情報として読むと、全体平均に引っ張られにくくなります。
「受験した年」と「入学する年」を取り違えない
2026年4月入学の主な一般入試は、前年の2025年に行われたものです。一方、2026年8月に実施された一般入試の要項は、2027年4月入学・2026年10月入学向けです。「2026年院試」という表現だけでは、どちらを指すのか決まりません。
結果を保存するときは、ファイル名に「2026年4月入学・博士前期・一般」のように条件を残すと、翌年の情報を追加するときにも比較しやすくなります。体験談を読む際も、投稿された日ではなく、受験日・入学年度・専攻を照合すれば、自分に関係する変更かどうかを判断できます。
外部受験者の倍率は公表表から計算できる?
本記事で使用した2024〜2026年の選抜結果表には、学内生と学外生を分けた受験者・合格者の列がありません。そのため、ここまでの倍率は内部・外部を分けない数値です。外部受験者だけの合格率や、内部生との難易度差を、この表から計算することはできません。

「外部だから何倍になる」と上乗せしない
一般入試の合格者数から推薦の合格者を引いて外部生の枠を作ったり、内部進学者の人数を想像して外部倍率を計算したりすると、公式データにない仮定が入ります。推薦と一般は選抜方式で、内部と外部は出身の区分です。両者は同じ分類ではありません。
外部からの出願を考える段階では、倍率の不足分を推測で埋めるより、受験資格、試験科目、研究室の受け入れ確認という、自分の出願に直接関わる情報を集めた方が準備を進められます。内部生との情報差が気になる場合も、外部院試の勉強法と合格戦略で全体の手順を押さえ、電通大固有の条件を足していくと整理しやすくなります。
学外生は出願前の研究室連絡が必要
電通大は、2026年度に実施する大学院入試へ出願予定の学外生に対し、出願前に指導を希望する教員へ連絡し、専門分野や研究室の受け入れなどを確認するよう案内しています。学外生向けの研究室連絡案内には、対象者、連絡方法、申し込み期限が掲載されています。2027年4月入学向けの一般入試要項では、出願前の面談・承認を経た「受入希望教員確認書」の提出も求められており、連絡メールを送るだけで手続きが完了するわけではありません。
2026年実施の博士前期課程一般・社会人入試では、研究室連絡の申し込み期限は6月26日、一般入試要項の出願期間は7月21〜27日でした。出願書類を提出する週に初めて連絡するのでは遅い、という関係が分かります。これらの日付はすでに終了した入試の例であり、翌年度の期限として使うものではありません。
教員への連絡では、関心のある研究テーマ、これまで学んだ分野、受験したい課程と専攻を伝えると、相談の前提がそろいます。確認したいのは、その研究室で自分の関心に合う研究ができるか、受け入れに関してどのような手順が必要かという点です。要項では、確認書は入試の合格や、合格後に当該教員が受け入れることを保証するものではないとされています。事前の面談と、合否を決める選抜は別の段階です。メールの組み立てに迷う場合は、院試の事前相談メールの書き方も参考になります。
倍率の次に確認したい試験科目と英語スコア
倍率を調べた後は、自分が得点を取るために何を準備するかへ進みます。2027年4月入学向けの博士前期課程一般入試は、外国語100点と専門科目400点の学力試験で選抜する方式です。一般入試の欄と社会人入試の面接試験の欄を混同せず、一般・社会人入試の募集要項で、自分の方式を読む必要があります。
専攻名だけでなく必須科目・選択科目まで合わせる
情報学専攻と情報・ネットワーク工学専攻は、名前が近くても専門科目の選択範囲や試験時間が異なります。公式の入試の種類と募集人員では、両専攻とも線形代数・微分積分を必須としながら、選択できる科目の組み合わせを別々に示しています。学んだ分野がどちらで生かせるかは、科目単位で比べると見えてきます。
まず、要項の専門科目欄を「すでに履修した科目」「履修したが演習不足の科目」「これから学ぶ科目」に分けます。たとえばアルゴリズムの知識があっても、必須の数学で手が止まるなら、選択科目だけを伸ばしても準備の穴が残ります。倍率のわずかな差より、こうした未習範囲と残り時間の方が、自分の受験計画を左右します。
過去問が手に入ったら、最初は解けるかどうかだけでなく、現行要項の科目と問題冊子が対応しているかも見ます。旧年度の選択方式がそのまま次回も続くとは限りません。特に科目や形式の変更があれば、以前の解答例を学習に使うことと、当日の出題構成を予測することは分けて考えます。
英語は目標点と提出条件を別々に管理する
一般入試の外国語は、TOEIC・TOEFLのスコアで評価され、英語の筆記試験は実施しない方式です。ただし、使えるテストの種類、有効期間、スコアシートの形式が定められています。2027年4月入学向けの案内では、TOEIC L&R公開テスト、TOEFL iBT、電通大実施に限るTOEFL-ITPなどが対象です。TOEIC-IPは利用できないと示されています。
2026年8月入試では、2024年8月以降に受験したスコアが有効とされていました。高い点数を持っていても対象期間を外れていれば、その入試に使えるスコアとは限りません。英語の準備は「何点を目指すか」に加えて、「どの試験を、いつ受け、何を提出するか」を一緒に管理すると、出願直前の行き違いを減らせます。
受験者数と合格者数から、必要なTOEIC点数を逆算することはできません。倍率表だけを根拠に「何点あれば安全」と線を引かず、英語の換算方法と専門科目の配点を要項で確認したうえで学習時間を配分します。スコアの発行・提出までの日程を組む際は、院試TOEICの受験期限の考え方も役立ちます。
電通大を受けるか判断するための準備手順
ここまでの情報を、志望校選びと勉強計画に落とし込みます。初めに大学全体の倍率だけで受験を決めるより、研究室、出願方式、試験科目を順に絞ると、自分にとって何が足りないのかが明確になります。

研究テーマと専攻をつなげて候補を絞る
最初に、関心のある研究室がどの専攻に属し、どのような研究を行っているかを調べます。「人工知能に興味がある」「ものづくりをしたい」といった広い関心から、扱いたい対象や使いたい手法まで一段具体化すると、教員の研究紹介を読み比べやすくなります。専攻の倍率を比べるのは、その候補が見えてからでも遅くありません。
この段階では、研究室ごとの合格枠を倍率表から作らないことが大切です。公式結果の単位は専攻であり、個々の研究室への配属結果を表す表ではありません。研究室の受け入れや指導内容については公式の連絡手順で確認し、入試結果の表には専攻全体の状況を知る役割を持たせます。
過去問を一度見てから勉強時間を割り振る
電通大は大学院の過去の入試問題を専攻別に公開しています。年度によって解答例の掲載状況も異なるため、問題と解答例が対になっているか、訂正版の案内があるかを確かめてから使います。学部の入試問題ページとは別なので、博士前期課程一般入試の表示があるページを選びます。
初回は、得点を測るためにすべて解き切る必要はありません。各大問を見て、使う定理や概念が分かるもの、授業では学んだが手順を再現できないもの、まだ習っていないものをメモします。その後、制限時間を設けて一部を解けば、理解の不足と計算・記述の遅さを分けて把握できます。
たとえば、必須数学では解法を説明できるのに計算が終わらず、選択科目では用語そのものが分からないとします。この二つを同じ「過去問が解けない」でまとめると、やるべき勉強が曖昧になります。前者は時間を測った演習、後者は講義資料や教科書へ戻る学習に分けられます。過去問の入手後の整理方法は、院試の過去問と解答の入手・分析手順でも説明しています。
研究室連絡・英語・出願を一枚の予定表にする
専門科目の勉強とは別に、日程を逃すと受験準備が進まなくなる手続きがあります。研究室へ連絡する期限、英語試験の受験日とスコアの発行時期、証明書の発行期間、出願期間を同じ予定表に置くと、先に動くべきものが分かります。連絡や発行には相手側の時間も必要なので、自分が勉強を終える日とは別に考えるのが実際的です。
次年度の要項が出る前なら、すでに公開された要項から必要項目を洗い出し、日付の欄は未確定として残せます。新しい要項が出た段階で、科目、資格、配点、提出形式、期限の変更を照合します。前年の予定をそのまま書き写した完成済みの計画より、更新する箇所が分かる計画の方が修正しやすくなります。
電気通信大学大学院の倍率でよくある疑問
結果表を読むときに混同しやすい年度・課程・入学時期について補足します。自分が受ける条件と、参照している資料の条件が同じかどうかが判断の出発点です。
2027年4月入学の倍率はもう分かりますか?
2026年9月26日時点で、公式の「過去の志願・選抜状況」の掲載は2026年度分までです。本記事では2027年分の志願者数・受験者数・合格者数を確認できていないため、2027年の倍率を掲載していません。合格発表があったことと、人数の集計表が公開されたことは区別しています。
これから2027年4月入学の一般入試に出願できますか?
2026年8月実施の一般入試の出願・試験は終了しています。一般入試要項には、充足状況によって第2次募集を実施する場合があり、その場合は2026年9月末までに公式サイトで告知すると記載されています。実施が確定したとは限らないため、大学の入試情報で募集の有無と条件を確認する必要があります。
博士後期課程や10月入学にも同じ倍率を使えますか?
使えません。本記事の表は4月入学の博士前期課程です。博士後期課程は別表で、入学資格や選抜方法も異なります。また、2027年4月・2026年10月入学向けの案内では、博士前期課程の10月入学は外国人留学生を対象とする条件が示されています。入学時期だけを変更して同じ条件で受けられるとは限らないため、自分に適用される募集要項を選びます。
まとめ|倍率を確認したら専攻・研究室・科目をそろえる
電気通信大学大学院の2026年4月入学・博士前期課程一般入試は、実質倍率1.56倍でした。専攻別では1.06〜1.92倍で、公式表の志願倍率とは計算方法が異なります。推薦入試や博士後期課程と混ぜず、受験する方式の受験者・合格者を読むことが、数字を正しく使う第一歩です。
志望専攻が決まったら、研究室の受け入れ確認と、現行要項に沿った科目・英語・出願日程の整理へ進みます。倍率表は過去の選抜結果を知る資料として使い、自分の準備は研究内容と試験範囲から組み立てる。その順番なら、倍率の高さや低さだけに振り回されず、電通大を受験するために必要な作業を具体化できます。
参考:電気通信大学「過去の志願・選抜状況」。本文中の公式資料は2026年9月26日に確認しています。


