学歴と年収の関係。因果関係と相関関係って?
学歴と年収は、相関関係があります。しかし、因果関係はありません。
これをわかりやすく言い換えると、以下の2つに置き換えられます。
- 「学歴が高い」から「年収が高い」わけではない
- 「学歴が高い」人は「年収が高い」傾向にある。あるいは、「年収が高い」人は、「学歴が高い」傾向にある
東大や京大などの偏差値の高い大学に入れば、それだけで生涯年収が上がるわけではなく、あくまで「年収が高い人が多いですよ」ということです。
よく、「一流大学に入れば将来安泰」と言われますが、それは間違いです。
一流大学出身者でフリーターやニートの方もいますし、中卒や高卒で起業して大成功している方もいます。

- 「ふーん。因果関係がないなら高卒でもいいや」
- 「じゃあ、大学なんてどこでもいいか」
ちょっと待ってください!
因果関係はなくても、相関関係はあります。
そして、その相関関係がどれだけのものなのか、ちゃんと現実を見なければいけません!
本記事では、『最終学歴による年収の違い』や『出身大学別の年収の違い』を紹介していきます。
『学歴ロンダリング(学部より偏差値の高い大学院に入学すること)により生涯年収はどれだけ上がるのか』も計算しているので、最後まで見てみて下さい。
「学歴なんて関係ない」が「ただのキレイゴト」だということがよく分かるでしょう。それでは、ご覧ください!
最終学歴の違いによる年収の差
はじめに、『大学・大学院卒』『高専・短大卒』『高校卒』の男女別の賃金の差を見てみましょう。
賃金の差
まずは男性から、『大学・大学院卒』『高専・短大卒』『高校卒』の賃金の差をみていきます。
男性の場合
男性 年齢[歳] | 大学・大学院卒 | 高専・短大卒 | 高校卒 |
賃金[円] | 賃金[円] | 賃金[円] | |
20~24 | 230,000 | 207,500 | 201,500 |
25~29 | 263,800 | 236,200 | 227,900 |
30~34 | 321,100 | 266,300 | 255,700 |
35~39 | 373,900 | 297,200 | 281,400 |
40~44 | 426,400 | 331,700 | 208,100 |
45~49 | 486,100 | 211,300 | 331,500 |
50~54 | 535,100 | 401,100 | 352,600 |
55~59 | 522,800 | 397,000 | 352,000 |
60~64 | 378,400 | 292,300 | 256,800 |
65~69 | 374,900 | 255,200 | 224,400 |
70~ | 447,800 | 254,700 | 212,300 |
平均 | 396,391 | 286,409 | 264,018 |
※厚生労働省 平成30年賃金構造基本統計調査 |
女性の場合
女性 年齢[歳] | 大学・大学院卒 | 高専・短大卒 | 高校卒 |
賃金[円] | 賃金[円] | 賃金[円] | |
20~24 | 223,800 | 206,800 | 184,900 |
25~29 | 247,500 | 225,200 | 197,000 |
30~34 | 274,700 | 240,200 | 203,100 |
35~39 | 301,100 | 253,600 | 208,900 |
40~44 | 332,300 | 267,600 | 219,400 |
45~49 | 355,700 | 282,900 | 227,600 |
50~54 | 391,600 | 289,100 | 228,100 |
55~59 | 382,300 | 288,200 | 230,800 |
60~64 | 345,000 | 251,200 | 195,100 |
65~69 | 347,900 | 246,100 | 189,000 |
70~ | 401,500 | 264,100 | 201,100 |
平均 | 327,582 | 255,909 | 207,727 |
※厚生労働省 平成30年賃金構造基本統計調査 |
いかがでしょうか。
平均値をみると違いが一目瞭然ですね。
男性の場合は、高卒の平均賃金を基準に考えると、『高専・短大卒』がプラス22,000円。『大学・大学院卒』はプラス132,000円になります。
女性の場合は、高卒の平均賃金を基準に考えると、『高専・短大卒』がプラス58,000円。『大学・大学院卒』はプラス120,000円になります。
高卒か大学・大学院卒だと、どちらも月に10万円以上もの賃金に差があることになります。
生涯年収の差
上記の平均賃金を参考に、『大学・大学院卒』『高専・短大卒』『高校卒』の生涯年収を概算で比較してみましょう。
男性の場合
【大学・大学院卒の生涯年収】
・勤続年数:50年
・平均賃金:396,391円
・生涯年収:396,391[円] × 50[年] ≒ 1億9,800万円
【高専・短大卒の生涯年収】
・勤続年数:52年
・平均賃金:286,409円
・生涯年収:286,409[円] × 52[年] ≒ 1億4,900万円
【高卒の生涯年収】
・勤続年数:54年
・平均賃金:264,018円
・生涯年収:264,018[円] × 54[年] ≒ 1億4,300万円
女性の場合
【大学・大学院卒の生涯年収】
・勤続年数:50年
・平均賃金:327,538円
・生涯年収:327,538[円] × 50[年] ≒ 1億6,400万円
【高専・短大卒の生涯年収】
・勤続年数:52年
・平均賃金:255,909円
・生涯年収:255,909[円] × 52[年] ≒ 1億3,300万円
【高卒の生涯年収】
・勤続年数:54年
・平均賃金:207,727円
・生涯年収:207,727[円] × 54[年] ≒ 1億1,200万円
男性・女性まとめ
【大学・大学院卒の生涯年収】
<男性> 1億9,800万円
<女性> 1億6,400万円
【高専・短大卒の生涯年収】
<男性> 1億4,900万円
<女性> 1億3,300万円
【高卒の生涯年収】
<男性> 1億4,300万円
<女性> 1億1,200万円
これは退職金を考慮していないので、実際はもっと差が開くと思われます。
大学・大学院卒の人は、高卒の人よりも生涯年収が男性で5,500万円、女性で5,200万円の差があります。
このデータを見る限り、大学・大学院卒が生涯年収においてかなり有利だということが言えるでしょう。
出身大学の違いによる年収の差
最終学歴によって年収に5,000万円以上の差が出ることを見ていきました。
しかし、大学・大学院卒が圧倒的に生涯年収が高いとはいえ、出身大学によって生涯年収が大きく異なることはみなさんご存知のとおりです。
次は、出身大学の違いによる年収の差を見ていきましょう。
賃金の差
ランキングTOP10の大学別の平均年収を以下にまとめます。
ランキング | 大学名 | 平均年収 |
1位 | 東京大学 | 729万円 |
2位 | 京都大学 | 677万円 |
3位 | 慶應義塾大学 | 632万円 |
4位 | 東北大学 | 623万円 |
5位 | 名古屋大学 | 600万円 |
6位 | 大阪大学 | 599万円 |
7位 | 神戸大学 | 590万円 |
8位 | 北海道大学 | 590万円 |
9位 | 横浜国立大学 | 573万円 |
10位 | 早稲田大学 | 572万円 |
※DODA転職支援サービスによる調査 |
出身大学によって年収に大きな開きがあるのがわかりますね。
「大学名なんて関係ない」という意見がある一方で、年収には明らかに相関関係が見られるのです。
出身大学別に、生涯年収にどれだけ違いが出るのかを計算してみましょう。
生涯年収の差
上記のデータを参考に、勤続年数50年の計算で、上記TOP10の大学の生涯年収を計算してみました。
ランキング | 大学名 | 生涯年収 |
1位 | 東京大学 | 3億6,500万円 |
2位 | 京都大学 | 3億3,850万円 |
3位 | 慶應義塾大学 | 3億1,600万円 |
4位 | 東北大学 | 3億1,150万円 |
5位 | 名古屋大学 | 3億0,000万円 |
6位 | 大阪大学 | 2億9,950万円 |
7位 | 神戸大学 | 2億9,900万円 |
8位 | 北海道大学 | 2億9,500万円 |
9位 | 横浜国立大学 | 2億8,650万円 |
10位 | 早稲田大学 | 2億8,600万円 |
1位の東京大学と、9位の横浜国立大学を比較すると、生涯年収に8.000万円近い差があることがわかります。
- 「学歴と年収に因果関係がないなら、高卒でもいいや」
- 「学歴と年収に因果関係がないなら、どこの大学でもいいや」
数字でデータを示されたら、このようなことは言ってられないですよね。
学歴と年収に因果関係はないですが、相関関係があるということの恐ろしさを実感していただけたのではないでしょうか。
大学院受験のための勉強は、時給10万円!
ランキング1位の東京大学出身の人の生涯年収は、およそ3億6,500万円。
ランキング9位の横浜国立大学出身の人の生涯年収は、およそ2億8,650万円。
ランキング1位と9位でも、生涯年収がおよそ8,000万円も変わるということを述べました。
仮に、学部横浜国立大学の人が、1日4時間×200日の勉強で、東京大学大学院に進学できたとします。
時給を計算すると、以下のようになります。
8,000[万円] ÷ (4[時間] × 200[日]) = 10[万円/時]
院試の勉強の時給を計算すると、とんでもない金額になりますね。
- 「院試のやる気がでない」
- 「勉強する気がおきない」
このように思っているときでも、この時給をみると少しはやる気が出るのではないでしょうか。
まとめ:学歴により生涯年収が1億以上変わることもある
いかがでしたでしょうか。
学歴と年収は、因果関係はないですが、相関関係はあるということを紹介しました。
実際に、統計データをみてみると、東京大学出身者と高卒の人では、平均年収が2億も変わるということがわかります。
「学歴なんて関係ない」が「ただのキレイゴト」だということがわかっていただけたでしょうか。
ただし、独立したり、フリーランスでやっていこうと思ったら、学歴はほとんど役に立ちません。
また、学歴と年収に因果関係はないので、偏差値の高い大学に入ったからといって努力せずに怠けていると、あっという間にたくさんの人に抜かされてしまうでしょう。
また、今後AIがどんどん普及し、自ら価値を創出できる生産性の高い人材が求められる実力主義の社会になってくると、学歴という指標は意味を成さなくなってしまう可能性もあります。
偏差値の高い大学に入ったからといって慢心することなく、常に学び、成長していく姿勢が大切ですね。
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