この記事でわかること
研究計画書は、文章のうまさだけで評価されません。
面接官が見るのは、研究として進められる計画かどうかです。
| 悩み | この記事で整理すること |
|---|---|
| 何がダメかわからない | 落とされやすい例を項目別に確認 |
| 直し方が知りたい | NG文をOK文へ置き換える |
| 面接が不安 | 研究計画書から聞かれる質問を準備 |
| 時間がない | 直前に直す順番を決める |
研究計画書は、大学院で何を研究するかを示す書類です。
放送大学の作成指針でも、目的、背景、先行研究、研究方法、期待される成果が求められています。
つまり、気持ちだけを書いた文章は弱いです。
私が院試相談で見る失敗も、ほとんどは同じです。
テーマ、背景、方法、実現可能性のどこかが抜けています。
この記事では、院試前に直すべき順番まで落とします。
研究計画書のダメな例は5種類に分かれる

最初に、ダメな研究計画書の全体像を見ます。
細かい表現より先に、構造の弱点を見つけてください。
| ダメな例 | 面接官に伝わる印象 | 最初に直す場所 |
|---|---|---|
| テーマが広すぎる | 何を研究する人かわからない | 研究対象 |
| 背景が感想だけ | 学術的な根拠が弱い | 先行研究 |
| 方法がない | 修士で実行できるか不明 | 調査・実験手順 |
| 期待成果が大げさ | 現実味が薄い | 到達点 |
| 志望先とズレる | 研究室で指導しにくい | 研究室適合 |
1. テーマが広すぎる
最も多い失敗は、研究テーマが大きすぎることです。
「教育格差をなくす研究」だけでは、研究計画になりません。
| NG例 | OK例 |
|---|---|
| 教育格差について研究したい | 地方高校生の進路情報格差を調べる |
| AIと医療を研究したい | 画像診断支援の説明可能性を検証する |
| 環境問題を解決したい | 地域別の廃棄物回収行動を比較する |
OK例は、対象と見る角度が絞られています。
研究計画書では、社会課題をそのまま掲げないでください。
研究で扱える大きさまで切ります。
2. 先行研究が読まれていない
背景が自分の感想だけになると、計画の土台が弱くなります。
放送大学の指針でも、背景と先行研究は別に見られます。
| NG例 | 何が足りないか |
|---|---|
| 最近この問題が気になっています | どの研究で何がわかったか |
| 社会的に注目されています | 何が未解決か |
| まだ研究されていません | 本当に未研究か |
「まだ研究されていない」は危険です。
たいていは、近い研究が存在します。
まず5本の論文を読んでください。
3. 方法が「調べる」で止まっている
研究方法が浅いと、計画の実行力が見えません。
中央大学系の解説でも、調査対象や分析手法の具体性が重視されています。
| NG例 | OK例 |
|---|---|
| アンケートを取る | 対象者、質問項目、分析方法を書く |
| 文献を読む | 何の文献を何基準で比較するかを書く |
| 実験する | 条件、測定値、比較対象を書く |
| インタビューする | 対象人数と質問設計を書く |
方法は、専門用語を並べる場所ではありません。
読んだ人が手順を想像できるかが基準です。
4. 成果が大きすぎる
修士2年間で世界を変える計画は、評価されにくいです。
研究成果は、現実的な到達点にしてください。
| NG例 | OK例 |
|---|---|
| 医療制度を改善する | 課題分類と改善仮説を示す |
| 教育格差を解決する | 情報入手経路の差を明らかにする |
| 企業経営を変える | 既存施策の効果差を比較する |
大きな目的を書くこと自体は悪くありません。
ただし、本文では修士で検証できる範囲に落とします。
5. 志望研究室とつながっていない
院試では、研究計画書と研究室の一致も見られます。
研究室で扱えないテーマは、指導が難しいからです。
| 確認項目 | 見る場所 |
|---|---|
| 指導教員の研究テーマ | 研究室ページ |
| 最近の論文 | researchmapや研究室業績 |
| 扱うデータや装置 | 研究室紹介 |
| 修士学生のテーマ | 研究室の卒論・修論一覧 |
研究室名を入れるだけでは足りません。
どの研究手法や問題意識が合うのかを書いてください。
NG文をOK文に直す例

ここからは、研究計画書でよく見る文を直します。
書き換えの目的は、抽象語を研究可能な言葉に変えることです。
テーマの直し方
テーマは、対象、方法、目的の3点で絞ります。
長すぎるテーマは、副題で補ってください。
| 修正前 | 修正後 |
|---|---|
| 地域医療についての研究 | 地方高齢者の通院負担を移動手段から分析する研究 |
| 大学生の学習意欲の研究 | 理系学部生の自習継続要因を質問紙で検討する研究 |
| SNSと若者の関係 | 短尺動画視聴と集中時間の関連を検証する研究 |
修正後は、誰を見て、何を比べるかが見えます。
面接官も追加質問を作りやすくなります。
背景の直し方
背景では、社会背景と学術背景を分けます。
感想から始めると、研究の必要性が伝わりません。
| 修正前 | 修正後 |
|---|---|
| 私は以前から教育に関心がある | 進路情報の地域差が進学選択に影響する点に注目する |
| 医療に課題があると思う | 受診行動の制約を移動時間と情報取得の面から見る |
| AIは便利なので研究したい | 判断根拠の説明不足が現場導入の障壁になる点を扱う |
背景は、読み手を研究目的へ運ぶ部分です。
自分の関心は最後に短く置きます。
研究方法の直し方
方法は、5W1Hで書くと崩れにくいです。
「調査する」だけでは、計画の強さが出ません。
| 観点 | 書く内容 |
|---|---|
| Who | 誰を対象にするか |
| What | 何を測るか |
| Where | どこで集めるか |
| When | いつまでに集めるか |
| How | どう分析するか |
たとえば質問紙なら、対象人数、質問項目、分析方法を書きます。
文献研究なら、対象文献の範囲と比較軸を書きます。
期待成果の直し方
期待成果は、成果物と貢献先を分けます。
大きな社会貢献だけを書くと、現実味が薄くなります。
| 修正前 | 修正後 |
|---|---|
| 社会に役立てたい | 要因分類を作り、支援策の検討材料にする |
| 新しい知見を出したい | 既存研究で不足する比較軸を補う |
| 問題を解決したい | 解決策の前段階として課題構造を整理する |
修士では「解決」より「明らかにする」が強いです。
到達点を小さくすると、計画はむしろ説得的になります。
合格者の体験談から見える注意点

ここでは、ESCAPEの合格者の体験談に見られた共通点を整理します。
研究計画書は、提出後の面接まで見据えて準備する必要があります。
研究計画書は面接で深掘りされる
研究計画書は、提出して終わりではありません。
面接の質問材料になります。
ESCAPEの合格者の中には、研究計画書に対して複数の質問を受けた人がいます。
別の合格者も、A4数枚相当の研究計画書を作り、面接で7分発表と質疑を受けています。
| 面接で聞かれた観点 | 準備する答え |
|---|---|
| なぜそのテーマか | 問題意識と先行研究 |
| なぜその研究室か | 指導領域との一致 |
| どの方法で検証するか | データ、手法、期間 |
| どこまでできそうか | 修士での到達点 |
私が面接練習で確認するのは、本文より先にこの4点です。
本文が整っていても、口で説明できなければ弱いです。
研究経験が浅い人ほど方法を書く
研究経験が浅い受験生は、意欲を強く書きがちです。
ただ、面接官が見たいのは、現時点で何を調べたかです。
| 状態 | 書き方 |
|---|---|
| 卒論が始まっていない | 関心領域と読んだ論文を書く |
| 方法が未確定 | 候補手法を2つ出して比較する |
| データがない | 取得予定と代替案を書く |
| 成果が少ない | 研究の問いと検証手順を書く |
成果が少ない段階でも、計画は作れます。
ただし、空白を熱意で埋めないでください。
わからない質問への答え方も準備する
ESCAPEの合格者の体験談では、想定外の質問を受けた例も多いです。
研究計画書があるほど、質問は具体化します。
| 質問 | 避けたい答え | 直した答え |
|---|---|---|
| なぜその方法ですか | 何となくです | 目的に対して比較しやすいからです |
| 先行研究との差は | まだ調べていません | 現時点では対象と比較軸を変えます |
| 実現できますか | 頑張ります | 6か月目までに予備調査を終えます |
| 弱点は何ですか | 特にありません | 対象数の確保が課題です |
わからない質問では、断言しすぎないでください。
現時点の理解と今後の検証範囲を分けます。
研究計画書を直す順番
時間がない人は、全部を同時に直さないでください。
合否に響きやすい順番から直します。
1. 研究テーマを1文で言えるようにする
最初に、研究テーマを1文にします。
ここが曖昧だと、本文全体が崩れます。
| 確認項目 | OK基準 |
|---|---|
| 対象 | 誰・何を見るか言える |
| 問い | 何を明らかにするか言える |
| 方法 | どう調べるか言える |
| 意義 | なぜ必要か言える |
30秒で説明できないテーマは、まだ大きすぎます。
面接では、最初の30秒で印象が決まります。
2. 先行研究を最低5本読む
次に、先行研究を読みます。
完璧な文献レビューは不要です。
| 本数 | やること |
|---|---|
| 1本目 | 分野の基本語を拾う |
| 2本目 | 代表的な方法を見る |
| 3本目 | 対象やデータを確認する |
| 4本目 | 未解決点を探す |
| 5本目 | 自分の問いとの差を作る |
「参考文献」欄だけを埋めても意味は薄いです。
背景と方法に、読んだ内容を反映してください。
3. 方法を手順に分解する
方法は、読み手が再現できる粒度にします。
抽象語を動作へ変えてください。
| 抽象語 | 動作に直す |
|---|---|
| 分析する | どの指標を比べるか書く |
| 検討する | 何と何を比較するか書く |
| 調査する | 対象、人数、期間を書く |
| 考察する | 何を根拠に判断するか書く |
理系なら、実験条件や測定値を書きます。
文系なら、資料範囲や分析枠組みを書きます。
4. 研究室との一致を1段落で書く
最後に、志望研究室との一致を確認します。
ここは志望理由と重なる部分です。
| 書く内容 | 例 |
|---|---|
| 研究室の方向性 | 〇〇を扱う研究室である |
| 自分の問い | 私は△△を検証したい |
| 接点 | 方法や対象が近い |
| 入学後 | 先行研究を読み、予備調査へ進む |
研究室の説明だけでは弱いです。
自分の計画と接続してください。
直前1週間で直すならここを見る
出願まで1週間なら、文章全体の作り替えは危険です。
点数に直結する穴だけを塞ぎます。
1日目から3日目
最初の3日で、研究の骨格を直します。
表現の細かさより、論理の順番を優先します。
| 日 | 作業 |
|---|---|
| 1日目 | テーマを1文にする |
| 2日目 | 先行研究を5本読む |
| 3日目 | 背景、目的、方法を並べ直す |
この段階では、見た目を整えすぎないでください。
研究として成立するかを先に見ます。
4日目から6日目
4日目以降は、面接で答えられる形にします。
研究計画書は、話せる状態まで持っていく必要があります。
| 日 | 作業 |
|---|---|
| 4日目 | 期待成果を小さくする |
| 5日目 | 志望研究室との接点を書く |
| 6日目 | 面接質問10個を作る |
7分の説明を求められる入試もあります。
5分、7分、10分のどれでも話せるようにしてください。
7日目
最終日は、第三者に読んでもらいます。
専門外の人にも、研究対象と方法が伝わるか見てください。
| チェック | 見るポイント |
|---|---|
| 読みやすさ | 1文が長すぎない |
| 論理 | 背景から方法までつながる |
| 具体性 | 対象と方法が見える |
| 面接対応 | 想定質問に答えられる |
私自身、研究計画書を読むときは、最初に方法を見ます。
方法が書けていれば、テーマはかなり絞れています。
本番前チェックリスト
提出前には、次の順番で確認してください。
1つでも詰まるなら、そこが最優先の修正点です。
| チェック項目 | 判定 |
|---|---|
| 研究テーマを30秒で説明できる | できる |
| 先行研究を5本以上読んだ | できる |
| 何を明らかにするか言える | できる |
| 調査・実験・分析方法が書けている | できる |
| 修士で終わる範囲に収まっている | できる |
| 志望研究室との接点がある | できる |
| 参考文献が本文とつながっている | できる |
| 面接質問10個に答えられる | できる |
このチェックは、提出前だけでなく面接前にも使えます。
研究計画書は、面接の台本ではありません。
ただし、面接の質問を生む中心資料です。
よくある質問
研究計画書のダメな例で、最後に迷いやすい点を整理します。
自分の状況に近いものから確認してください。
| 質問 | 答え |
|---|---|
| 研究テーマが未定でも出せますか | 関心領域と方法候補まで書いてください |
| 参考文献は何本必要ですか | 最低5本は読み、本文に反映します |
| 理系でも文章力は見られますか | 見られます。論理の通り方です |
| 文系は方法を書きにくいですか | 資料範囲と分析枠組みを書きます |
| 面接では何を聞かれますか | テーマ、方法、実現可能性です |
研究計画書は、正解例を写す書類ではありません。
自分の問いを、研究室で扱える形へ整える書類です。
まとめ
研究計画書のダメな例は、文章が下手なことではありません。
研究テーマ、背景、先行研究、方法、期待成果がつながっていないことです。
特に直すべきなのは、テーマの広さと方法の浅さです。
ここが直ると、面接での説明も安定します。
合格者の体験談でも、研究計画書は面接で深掘りされています。
研究計画書を提出物として終わらせず、質問に答える準備まで進めてください。
最後に見るべきなのは、かっこよい表現ではありません。
現時点で何を読み、何を検証し、どこまで明らかにするかです。
この3点が言えれば、ダメな例から抜け出せます。


