結論
コンサルESで見られているのは、文章のうまさそのものではありません。
もちろん読みやすい文章であることは大切です。ただし、採用側が本当に知りたいのは「この人は入社後に活躍しそうか」「面接で詳しく確認する価値があるか」です。ESは、面接に呼ぶべき人を絞るための判断材料です。
そのため、コンサルESでは次の3つの力が見られています。
- 課題設定力
- 本人の行動
- 再現性
この3つが伝わるESは、経験の派手さに頼らなくても評価されやすくなります。逆に、どれだけ立派な経験を書いていても、何を課題と捉え、本人がどう動き、次の環境でも成果を出せる理由が見えないESは、採用側から見ると判断しにくい文章になります。
この記事では、コンサルESで見られる3つの力と、手元の経験を評価される材料に変換する方法を整理します。

コンサルESは「採用後に活躍する仮説」を作る書類
ESを書くとき、多くの人は「何を書けば印象がよいか」「どの経験ならすごく見えるか」を考えます。しかし、採用側の視点では少し違います。
採用側は、ESを読んで「この人は活躍しそうだ」という仮説を作っています。まだ面接前なので、確定判断はできません。だからこそ、ESでは面接で確認したい論点が見えることが重要です。
たとえば、同じ「サークルの新歓を改善した」という経験でも、書き方によって評価材料としての強さは大きく変わります。
弱い書き方は、次のようなものです。
サークルの新歓活動で、メンバーと協力して施策を考え、参加者数を増やしました。
この文章は悪くありませんが、採用側から見ると判断材料が足りません。何が課題だったのか、本人はどこを考えたのか、なぜ成果が出たのかが見えないからです。
一方で、強い書き方は次のようになります。
新歓参加者数が減っていた原因を、認知不足ではなく「初回参加後の継続率の低さ」と捉えました。そこで私は、初回参加者へのヒアリングと参加導線の分解を行い、初回体験の不安を減らす説明資料とフォロー面談を設計しました。その結果、初回参加後の継続参加率が改善し、翌月の定着人数も増加しました。
この文章では、課題設定、本人の行動、成果の因果が見えます。採用側は「この人は問題を分解して、仮説を立て、自分で動けるかもしれない」と判断しやすくなります。
ESは自分の経験を並べる場所ではありません。採用側が評価できる材料に変換する場所です。
見られる力1:課題設定力
課題設定力とは、目の前の状況をそのまま受け取るのではなく、「本当に解くべき問題は何か」を捉える力です。
コンサルの仕事では、クライアントが最初に話す悩みが、そのまま本質的な課題とは限りません。「売上が落ちている」という悩みの裏に、顧客単価の問題、継続率の問題、チャネルの問題、組織の実行力の問題が隠れていることがあります。
ESでも同じです。経験を書くときに、単に「大変だったこと」「頑張ったこと」を書くだけでは、課題設定力は伝わりません。
課題設定力が伝わりにくい文章は、次のような表現になりがちです。
- 売上を上げるために努力した
- チームの雰囲気を良くするために頑張った
- メンバーと協力して課題を解決した
- 多くの人に参加してもらえるよう工夫した
これらは方向性としては悪くありません。ただ、「何を課題と見立てたのか」が曖昧です。
課題設定力を伝えるには、次のように書き換えます。
- 売上低迷の原因を、集客数ではなくリピート率の低さと捉えた
- チームの停滞要因を、意欲不足ではなく役割の不明確さと捉えた
- 参加者が増えない原因を、告知量ではなく初回参加の心理的ハードルと捉えた
- 作業遅延の原因を、能力差ではなく進捗の可視化不足と捉えた
ポイントは、「何が起きていたか」ではなく「なぜそう見立てたか」まで書くことです。ここがあると、ESは単なる活動報告ではなく、思考の跡が見える文章になります。
見られる力2:本人の行動
2つ目に見られるのは、本人の行動です。
ESでは「チームで取り組みました」「メンバーと協力しました」という表現がよく出てきます。チームで動けること自体は大切です。しかし、採用側が知りたいのは、その中で本人が何を考え、何を担い、どのように周囲へ働きかけたかです。
特にコンサル選考では、経験の規模よりも「本人の思考と行動の解像度」が重要です。大きなプロジェクトに参加していても、本人の役割が見えなければ評価しにくい。一方で、身近な経験でも、本人の行動が具体的であれば評価材料になります。
弱い書き方は、主語がぼやけています。
チームで施策を考え、全員で協力して実行しました。
この文章では、本人がどこで価値を出したのかが見えません。
強い書き方では、主語を「私」に戻します。
私は、議論が抽象論で止まっていたことに課題を感じ、参加者アンケートを20件確認して離脱理由を3つに分類しました。そのうえで、最も影響が大きい初回参加後のフォロー不足に絞り、担当者別の連絡テンプレートと実施期限を設計しました。
本人の行動を書くときは、立派な肩書きよりも、具体的な動きが大切です。
たとえば、次のような行動は評価材料になります。
| 見せたい力 | 書くべき行動の例 |
|---|---|
| 課題を捉える力 | データを確認した、関係者に聞いた、原因を分類した |
| 周囲を動かす力 | 役割を整理した、合意形成した、実行ルールを作った |
| やり切る力 | 期限を区切った、進捗を見える化した、改善を繰り返した |
| 学ぶ力 | 失敗要因を振り返った、次の施策に反映した |
「私は何をしたのか」を具体化できると、ESは一気に読みやすくなります。
見られる力3:再現性
3つ目に見られるのは、再現性です。
再現性とは、その経験で発揮した力が、別の環境でも発揮できそうかということです。ESでは、成果の大きさだけではなく、その成果がなぜ生まれたのか、次の環境でどう活かせるのかが見られます。
たとえば、次のような文章は成果があっても再現性が伝わりにくいです。
イベントの参加者数を2倍に増やしました。
数字はありますが、採用側はまだ判断できません。偶然なのか、周囲の力なのか、本人の工夫なのかがわからないからです。
再現性を伝えるには、成果の前後に「考え方」と「次に使える学び」を入れます。
参加者数を増やすために、告知量を増やすのではなく、参加後の満足度を上げて紹介を生む方針に切り替えました。参加者へのヒアリングから初回参加時の不安を整理し、事前案内と当日の役割設計を改善しました。この経験から、表面的な数値だけでなく、行動が生まれる導線を分解して改善する重要性を学びました。
このように書くと、経験の結果だけでなく、別の場面でも使えそうな思考パターンが見えます。
コンサルESでは、「すごい成果を出しました」だけでは足りません。「なぜ成果が出たのか」「その力は入社後も使えそうか」まで見せる必要があります。
経験をそのまま書かず、評価材料に変換する
ESで差がつくのは、経験の選び方だけではありません。経験をどう変換するかです。
多くの人は、過去の出来事を時系列で書こうとします。もちろん時系列は読みやすいのですが、それだけだと日記のようになります。採用側が知りたいのは、出来事の全体像ではなく、評価に必要な材料です。
経験を評価材料に変換するには、次の順番で整理します。
- 経験:何をしたのか
- 観点:どの力を見せたいのか
- 証拠:その力が伝わる行動や結果は何か
- 面接論点:面接で深掘りされても話せるか

たとえば、「アルバイトで売上改善に取り組んだ」という経験があるとします。
そのまま書くと、「売上向上に貢献しました」で終わりがちです。しかし、評価材料に変換すると、次のように整理できます。
| 整理項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 経験 | アルバイト先で売上改善に取り組んだ |
| 観点 | 課題設定力、本人の行動、再現性 |
| 証拠 | 客数ではなく購入率に課題を置いた、接客導線を変えた、結果を比較した |
| 面接論点 | なぜ購入率に着目したのか、他の施策を検討したか、失敗したことは何か |
ここまで整理できると、ES本文は書きやすくなります。さらに面接で深掘りされても、答えやすくなります。
コンサルESで避けたいNG表現
コンサルESでよくあるNGは、抽象的な良い人アピールに寄ってしまうことです。
次の表現は便利ですが、単独では評価材料になりにくいです。
- 粘り強く取り組みました
- 主体的に行動しました
- 周囲を巻き込みました
- 論理的に考えました
- 責任感を持ってやり切りました
これらの言葉が悪いわけではありません。問題は、証拠がないまま使うことです。
たとえば、「主体的に行動しました」と書くなら、何を見て、何を決め、何を動かしたのかを書く必要があります。「周囲を巻き込みました」と書くなら、誰に、どの順番で、何をお願いし、どのような合意を作ったのかを書く必要があります。
抽象語は、最後にまとめるための言葉です。本文の中心には、具体的な行動と判断を置きます。
ガクチカを書くときの考え方
ガクチカでは、経験の派手さよりも、課題設定と行動の具体性が重要です。
全国大会、長期インターン、起業経験、留学経験などは目を引きます。ただし、経験が目立つほど「その中であなたは何をしたのか」が厳しく見られます。
一方で、アルバイト、ゼミ、サークル、研究、部活動でも問題ありません。むしろ身近な経験の方が、本人の考え方や行動が具体的に出やすいこともあります。
ガクチカの経験を選ぶときは、次の3つで判断するとよいです。
- 自分が課題を定義した場面がある
- 自分の行動で状況が変わった場面がある
- 結果や学びを次に活かせる形で説明できる
この3つが揃う経験であれば、テーマが派手でなくても十分に戦えます。
逆に、成果は大きいが自分の関与が薄い経験は注意が必要です。面接で深掘りされたときに、自分の判断や行動を説明できないと、ESの印象が崩れてしまいます。
志望動機を書くときの考え方
志望動機では、「なぜコンサルか」「なぜその会社か」「なぜ自分がそこに合うのか」が見られます。
ただし、志望動機も美しい言葉だけでは弱いです。「社会に貢献したい」「企業の課題解決をしたい」「成長したい」という言葉は、多くの人が書けます。差がつくのは、その理由を自分の経験と結びつけられるかです。
たとえば、次のような流れにすると、志望動機は整理しやすくなります。
- 原体験:なぜ課題解決や変革に関心を持ったのか
- 業界理解:なぜコンサルという手段なのか
- 企業理解:なぜそのファームなのか
- 適合性:自分の経験や強みがどう活きるのか
志望動機でも、採用側は「本当に理解しているか」「入社後に活躍しそうか」を見ています。企業研究で得た情報を並べるだけではなく、自分の経験と接続して語ることが重要です。
提出前のチェックリスト
ESを書き終えたら、誤字脱字だけでなく、評価観点が伝わるかを確認します。
特に見てほしいのは、次の3つです。
- 課題が一文で言えるか
- 主語が「私」になっているか
- 次の環境での再現性があるか

この3つが曖昧な場合、文章を整える前に構成を直した方がよいです。
たとえば、課題が一文で言えないなら、経験の切り取り方が広すぎる可能性があります。主語が「私」になっていないなら、チーム全体の説明に寄りすぎています。再現性が見えないなら、成果の理由や学びが不足しています。
ES添削では、表現を直す前に評価材料をそろえることが大切です。言い回しの改善は最後で構いません。
今日できるアクション
まず、手元の経験を1つ選び、次の3行で書き出してください。
- 当時の本当の課題は何だったか
- その課題に対して、私は何をしたか
- その経験から、別の環境でも使える学びは何か
この3行が書ければ、ESの骨子はかなり作りやすくなります。
次に、今の文章から抽象語を探してください。「主体性」「巻き込み」「論理的」「粘り強さ」「リーダーシップ」といった言葉が出てきたら、その直後に具体的な行動と証拠を足します。
最後に、面接で聞かれそうな質問を3つ作ります。
- なぜその課題だと考えたのか
- 他にどんな選択肢を検討したのか
- 失敗したことや改善したことは何か
この質問に答えられるESは、書類通過後の面接にもつながりやすくなります。
FAQ
コンサルESでは文章力が一番重要ですか?
文章力は重要ですが、一番大切なのは評価材料が伝わることです。読みやすい文章でも、課題設定、本人の行動、再現性が見えなければ判断されにくくなります。逆に、経験が派手でなくても、この3つが具体的に伝われば評価されやすくなります。
ガクチカはすごい経験でないと不利ですか?
必ずしも不利ではありません。採用側は経験の肩書きだけでなく、その中で何を考え、どう動いたかを見ています。アルバイト、ゼミ、サークル、研究でも、課題設定と本人の行動が具体的なら十分に評価材料になります。
数字の成果は必ず必要ですか?
数字があると説得力は上がります。ただし、数字だけでは不十分です。大切なのは、成果が出た理由を説明できることです。数字がない場合でも、前後の変化、周囲の反応、継続率、作業時間の短縮など、変化を示す材料を探しましょう。
「周囲を巻き込んだ」は書かない方がいいですか?
書いても問題ありません。ただし、そのままでは抽象的です。誰を、どの順番で、何のために巻き込んだのかを書く必要があります。単なる協力依頼ではなく、合意形成や役割設計まで書けると強くなります。
志望動機とガクチカで同じ経験を使ってもいいですか?
使っても問題ありません。ただし、見せる観点を変える必要があります。ガクチカでは課題設定や行動を見せ、志望動機ではその経験からなぜコンサルに関心を持ったのかを見せる、といった整理が有効です。
ESを書いた後は何を確認すべきですか?
まず、課題が一文で言えるかを確認します。次に、本人の行動が具体的に書かれているかを見ます。最後に、成果や学びが次の環境でも使えそうに見えるかを確認します。誤字脱字や表現調整は、その後で行うと効率的です。
ESCAPE Consulting Careerでできること
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