ESCAPEの先輩たちに、合格までにどんな勉強をしてきたか、どんな風に過ごしたか、院試本番はどうだったかなどを詳しく聞いてみました!
ぜひ皆さんも参考にして、自身の合格に役立てて下さい!
本記事は、東大院試サークルESCAPEの先輩による合格体験記です!
それでは早速、大学院受験の合格体験記を見ていきましょう!
- 大学院受験の概要
- 院試までの大学生活の過ごし方
- 試験概要・成績
- Q1. 英語の成績はどうでしたか?
- Q2. GPA成績はどうでしたか?
- Q3. 取得単位数はどうでしたか?
- Q4. 院試の試験形式はどうでしたか?(オンライン/対面)
- Q5. 院試はどんな試験がありましたか?
- Q6. 筆記試験の詳細はどうでしたか?
- Q7. 面接試験の詳細はどうでしたか?
- Q8. 英語で使用した参考書はなんでしたか?
- Q9. 専門科目で使用した参考書はなんでしたか?
- Q10. バイトはいつまで続けていましたか?
- Q11. 外部受験をすることを親に話しましたか?
- Q12. 話した人は大学何年生の何月頃に最初に親に話しましたか?
- Q13. 外部大学院を受験することを大学の友人に話しましたか?
- Q14. 話した人は大学何年生の何月頃に最初に大学の友人に話しましたか?
- Q15. 外部大学院を受験することを大学の教授に話しましたか?
- Q16. 話した人は大学何年生の何月頃に最初に大学の教授に話しましたか?
- Q17. 将来行きたい業界はどこですか? (いま考えている範囲で)
- Q18. 将来就きたい職業はなんですか? (いま考えている範囲で)
- Q19. 院試に合格できた要因は何だと思いますか?
- Q20. 院試を振り返った時の反省点はなんですか?
- Q21. 後輩のためにアドバイスをお願いします!
大学院受験の概要
まずは、所属大学、進学先の大学院などの情報を見ていきます!
Q1. 所属大学はどこですか?
慶應義塾大学理工学部機械工学科
Q2. 受験した大学院/専攻はどこですか?
東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻
東京工業大学大学院機械系
Q3. 現役?浪人?
現役
Q4. 留学経験はありますか?
無し
Q5. 進学先での研究内容は?
計算流体力学
Q6. ESCAPEに入ってよかったことは?
仲間に出会えたこと。
特に機械科出身だと身近に航空科を受験する人が少ないので、情報交換しあえる関係は貴重です!
院試までの大学生活の過ごし方
院試受験生が、大学生活をどのように過ごしてきたのか、勉強内容などもふまえてを見ていきましょう!
Q1. 大学3年生の~9月(夏休み)はなにをしていましたか?
“精選やマセマをやるような、あまりガッツリとした勉強はしていませんでした。まさかこの時期毎日ドラ◯エ10に7,8時間割いていたなんて口が裂けても言えません。
当時は航空科を受けるつもりはなく機械科志望だったのですが、例え航空科を受験するとしても四力や制御が専門科目の内容のメインなので、授業をきちんと聞いてここで下地を作っておくと後ほど楽になると思います。
僕はここで毎日ド◯クエをしていたので、後ほど苦労することになります。”
Q2. 大学3年生の10月~12月はなにをしていましたか?
“バイト先の塾で受験生達が僅かな時間を見つけてひたすら勉強しているのを見て改心、◯ラクエを止めて精選を解き始めました。何の下地も無いままいきなり精選を解くのはキツかったですが、授業で聞き覚えのある内容で簡単な問題しかない入門書を解く方がよっぽど苦痛だったので……。足りない所があったらその都度他の問題集や参考書を見る感じでやっていきました。
あと、ここら辺で基本情報技術者試験の勉強をして合格しました。
ここでプログラミングの基礎を勉強したので、後の研究に役立ちました。直接院試には関係ありませんが、自分の大学の卒業研究に力を入れたことも合格の一助になった気がするので、この辺りから卒研を意識してみてもいいかも知れません。卒研一切手を付けないと卒業できるか不安で仕方ないしね。”
Q3. 大学3年生の1月~3月はなにをしていましたか?
“確かここら辺から英語を意識し始めた気がします。
後述する英語の教材をかじりつつ、バイト先への通勤時間やご飯食べてるのの合間を縫って英単語アプリ「mikan」をやってました。
そして、2月に三菱航空機の民間機開発研修プログラムに参加し、機械科をやめ航空科を受験することに決めます。とはいえ特別なことをした訳ではなく精々「神の召されし書物」(後述)を図書館で借りて富士急の待ち時間に読んでたくらいです。
この時期にはまだ緊張感はなく、三菱での研修@名古屋の後に2週間かけて太平洋ベルトを西進しながら観光したり妹と2人で富士急行ったりしてました。
院試終わったら遊ぼう!と皆さん思われてるかも知れませんが、院試終わったら卒研忙しすぎて遊ぶ暇無し、2週間かけた旅行なんて出来るはずがないのでこれがラストチャンスです!”
Q4. 大学4年生の4月~6月はなにをしていましたか?
“この時期にTOEFLiBTを受けました。直前まで粘れば点数は伸びるので、気合で20点上げてください。私は本当に気合いで25点上げました笑。再現性は無いです。
数学の対策を始めたのはここら辺です。ここでも私の悪癖が発動し、マセマやるのが辛すぎていきなり黄色い本やってました。
いきなり精選以上に辛かったので、皆さんはきちんと段階を踏まれることをオススメします。
また、しばらくして数学を思い出したら、数学の過去問を一週間に1カ年分やってきて答え合わせする輪講を大学の機械科志望の友人と一緒に始めました。航空科志望は少ないかも知れませんが、工学系志望まで広げれば結構いるはずなので探してみましょう。
基礎科目の数学に関しては過去問の解答が売られていて、もちろん僕も買いましたが、それ見てはいおしまいでは力が身につかない気がするので、友人とあーだこーだ言いながら対策する方がいいと思います。
さらに、ここから圧縮性流体力学の勉強を始めました。授業でほんの少しだけ触れていたので勉強が間に合いましたが、大学の流体力学の授業で非圧縮流体しかやっていない人はもっと早く始めた方がいいと思います。
ちなみに、よく「数学と英語の配点は小さい!専門科目こそ取るべき!」という主張を目にしますが、外部生、特に機械科から航空科を受けるような超超ビハインドな状況でそのメンタルはオススメ出来ません。内部生や航空科生のアドバンテージは
専門科目>>数学≧英語(TOEFL)
なので、専門科目は良くてイーブンと考え、数学や英語で差を付けるしかありません。もちろん専門科目を軽視せよって意味ではありません!当然ここでアドバンテージ取れたら強いので、万遍なく頑張ってください!
ここら辺でESCAPEの仲間と出会い、みんなで専門科目の過去問を解いてきて答え合わせするということを始めました。
配布された5カ年分のうち2021を除く4カ年分しか出来ませんでしたが、しっかりと復習を行えば充分だと思います。
そのまんまな問題は当然として、雰囲気が似ているなと感じる問題すらほぼ出ないので、あくまで足りない知識を見つけて補完し合うくらいがいいと思います。”
Q5. 大学4年生の7月~8月はなにをしていましたか?
“4月からずっと卒業研究には力を入れていました。
卒業研究の最中に知った知識が数学や専門科目に活きましたし、なにより高い学費払っておいて「院試してたので研究してません」は勿体無いと思ったからです。
7〜8月もそれは継続しており、研究室のミーティングも欠かさず出ました。航空科の専門科目のテストの内容を見るに、ただ単に問題解けるだけのガリ勉クンは求めていない気がするので、自分の専門だけでもいいので頭捻りながら課題にぶち当たる経験を積んでおいた方がいいと思います。
また、お盆の時期にはアメリカに1週間の研修旅行に行きました。その最中は一切勉強していませんでしたが、オータニサーンの10勝目も生で見れたしサンディエゴのクラブも行ったしでいい思い出だったと思います……苦笑
勉強に関しては継続です。一番苦手な英語を突破できたので、数学と専門科目に集中できました。”
Q6. 大学4年生の9月以降はなにをしていましたか?
“院試終わったので念願のドラク◯再開だー!
研究室の同期と一緒に福岡旅行行きましたが、その最中に合格発表でした。落ちてたらどうしてたんだろ、俺……。”
試験概要・成績
英語の成績、GPAや、院試本番の試験内容や面接試験の内容などを見ていきましょう!
Q1. 英語の成績はどうでしたか?
“TOEFLiBT 85,79(2回受けた)
TOEIC 720
TOEICは一切勉強しないで行ったから多少はね?”
Q2. GPA成績はどうでしたか?
2.8/4.0
Q3. 取得単位数はどうでしたか?
141(提出時点)
Q4. 院試の試験形式はどうでしたか?(オンライン/対面)
2. 対面
Q5. 院試はどんな試験がありましたか?
“東大航空科:
TOEFL iBT(事前提出)
数学
専門科目(航空宇宙工学)
航空宇宙工学は午前午後ともに「流体力学」「固体力学」「航空宇宙システム学」「推進工学」の4科目から試験中に3科目選択。午前午後で違う科目を選択してOK。
流体力学は午前午後の片方が非圧縮性でもう片方が圧縮性らしい。今のところその規則を破るセットは見られないが、別に大学院側がアナウンスしている訳では無いのでいきなり変えてくるかも。非圧縮性は機械科とほぼ同じ内容なので選択すべき。圧縮性はこれまでノズルやプラントルマイヤーや斜め衝撃波など基礎的な問題が多いと思っていたが、今年はガッツリ翼理論やってないと分からない問題が出たので要注意。「神の召されし書物」こと牧野光雄「航空力学の基礎」には圧縮性流体の基礎知識や翼理論の話も載っているので読んでおいた方がいいかも。
固体力学は材料力学とは限らず、構造力学、弾塑性力学、果ては振動工学まで出たので「固体の力学」くらい曖昧に捉えておいた方がいい。分かる問題なら解く、たいてい選ばないくらいの心構えでいた方が精神衛生上の最善策である。ただし他が難しすぎて固体力学と向き合わなければいけないこともあるので完全に捨てるのはNG。
航空宇宙システム学は意外と機械科生にも解きやすい。内容は制御工学、飛行力学、軌道力学などであるが、制御は基本的な問題しか出ず、軌道力学も高校物理の知識があれば解ける内容なのでそこまで不安がる必要は無い。問題は飛行力学で、3次元姿勢制御の知識が無いと太刀打ち出来ないのでそれ関連の本を読んでおくことをオススメする。
推進工学は午前午後どちらかが機械力学、もう片方が熱力学と言われている。どちらも航空味は薄く、機械科生ならどちらも取りたい内容である。ただし、機械力学で電磁気学の知識を求めてきたり熱力学でジェットエンジンの比推力やSFCを計算させたりと想像の斜め上の知識を求めてくることもあるので油断は禁物。
基本的にどの科目も捨ててはならない。1科目捨ててしまったら、君に選ばれた3科目のどれかが笑顔で君を◯しに来るだろう。
東工大機械系:
材料力学
機械力学
熱力学
流体力学
どれも基本的な問題。東大航空科志望が解けない問題はまず出ないと言っていい(プレッシャー)
Q6. 筆記試験の詳細はどうでしたか?
緊張しない方法としては「俺が落ちるなら誰が受かんねん」って思えるくらい勉強すること。あとはテスト慣れすることか。3年10月に受けた基本情報技術者試験はテスト慣れに一役買ったかも知れない。
Q7. 面接試験の詳細はどうでしたか?
“東大はほぼ雑談。
学部での研究内容と修士でやりたい研究内容を聞かれるので軽くまとめておくべきかも。「雑談」であるので、向こうは臨機応変に質問してくる(というより、普通に会話してくる)。なので、肩の力を抜いて普通に会話すればいいだろう。ただし礼儀を欠くのはNG。
東工大は内容を口外してはいけないみたい。そんな大層な内容でも無かったと思うが……。”
Q8. 英語で使用した参考書はなんでしたか?
“テーマ別英単語ACADEMIC
短めの長文を読みながらアカデミックな単語を覚えていく。TOEFLは学術的な単語や文章を読むテストなので、これを和訳したり音読したりしながら英語に慣れていった。初級中級上級とあるが、苦手なら初級で充分だと思う。初級の時点でかなり難しく感じた。
英単語アプリ mikan
まあまあ有名なアプリ。僕は有料プランで旺文社のTOEFLテスト英単語3800(黄色い本)の問題をやっていた。80点目標なら100点までの単語までやれば充分かも。
ETS公式問題集(e-learning)
最強。これのお陰で+25点取れた。値段がかなり高いことと説明や解説まで全て英語なのがハードルであるが、航空科を目指す熱いハートで乗り切れる。”
Q9. 専門科目で使用した参考書はなんでしたか?
“数学
・演習 大学院入試問題 数学
いわゆる「黄色い本」。難易度がかなり高いのであまり得意で無い人はマセマからやった方がいいと思う。
航空宇宙工学
四力制御精選は当然として、他に参考にした参考書を挙げる。
流体力学
非圧縮性は精選解いて、分からないところは自分の大学で使っている教科書をみれば充分だと思う。
圧縮性は以下の2冊。
・航空宇宙工学テキストシリーズ「圧縮性流体力学」
・松尾一泰「圧縮性流体力学 内部流れの理論と解析」
前者は実際に僕が使っていたもの。薄くても要点がまとめられているので、時間無い人にオススメ。後者は内部生に人気らしい。分厚いが中身をちらっと見たらかなり詳細に載っていたので、圧縮性を必ず取りたい人はチェックしておくべきかも。
固体力学
正直、大学の授業がかなり良かったのであまり見ていないが、強いて挙げるとすれば
・伊藤勝悦「東京大学 2008~2017 大学院入試問題で学ぶ 詳解 材料力学演習」
・荒井正行「基礎から学ぶ 弾塑性力学」
前者の「入試」とは機械科のことであり、航空科の過去問は載っていない。頑なに材力の範囲に固執する傾向があり弾性力学まで出題される航空科にはちょっと足りない。そこを埋めるのが後者で、かなり親切に書いてくれているし演習問題も豊富なので早い段階から取り組むことをオススメする。
航空宇宙システム学
古典制御は精選で充分。たまに現代制御の範囲も出るが適宜調べればいい。今のところ可制御性と可観測性の判定くらいしか現代制御の知識を求められたことは無い。
飛行力学などについては先述した通称「神の召されし書物」である
・牧野光雄「航空力学の基礎」
を読めば色々書いてある。
推進工学
どちらも精選で充分。ただしブレイトンサイクルではなくガッツリとしたジェットエンジンの問題が出てきた時のために
・鈴木弘一「ジェットエンジン」
を持っておくといいかも知れない。エンジンの熱効率の計算のときにだけ参照した(深く考えすぎると推進効率まで考えてしまう)。”
Q10. バイトはいつまで続けていましたか?
3年3月
Q11. 外部受験をすることを親に話しましたか?
話した
Q12. 話した人は大学何年生の何月頃に最初に親に話しましたか?
忘れた。気がついたら受けることになっていた。
Q13. 外部大学院を受験することを大学の友人に話しましたか?
話した
Q14. 話した人は大学何年生の何月頃に最初に大学の友人に話しましたか?
忘れた。気がついたら広く知られていた。
Q15. 外部大学院を受験することを大学の教授に話しましたか?
話した
Q16. 話した人は大学何年生の何月頃に最初に大学の教授に話しましたか?
4〜5月。特に咎められたりはしなかったし、研究の面倒見が悪くなるということも無かった。
Q17. 将来行きたい業界はどこですか? (いま考えている範囲で)
もちろん飛行機作りたい!民間機を日本で作れていないので、日本で自前で設計できるようになりたい。
Q18. 将来就きたい職業はなんですか? (いま考えている範囲で)
研究職、開発系
Q19. 院試に合格できた要因は何だと思いますか?
“卒研にも力を入れたこと。意外と活きる。ここで卒研を疎かにして院試に熱中していたら、精神衛生上よろしくなかっただろうし、何より新しい刺激や知識が入ってこない。
恐らく専門科目は先生たちの最新の研究を元ネタとして作っているから、古臭い参考書にかじりついているばかりでは合格は難しいと思う。
あとは隙間時間を無理やりこじ開けること。21時までバイトだったら、その足で大学の図書館の自習室に行って24時まで勉強して帰るみたいなことをずっとしてた。”
Q20. 院試を振り返った時の反省点はなんですか?
全体的に始めるのが遅かった。きちんと3年春やその前から意識しておくんだったと後悔。結局一夜漬けではどうにもならないので、毎日少しずつでもやっておけばここまで切羽詰まらなかったと思う。
Q21. 後輩のためにアドバイスをお願いします!
・今すぐ始めよう。早すぎることはない
・卒研も手を抜かずやろう。他の人の回答を見ると研究せずに院試にシフトって人が多いけど、東大航空科でそれはあまりオススメできない。きついかも知れないけど、両方全力でやろう。
ご回答していただいた方、ありがとうございました!!!
皆さんもぜひ、先輩の意見を参考に、院試合格に役立てて下さい!!!
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