大学院の学費は、国公私立の区分に加え、研究科と入学年度で変わります。国立の修士2年間を約135万円と見積もれるのは、入学料282,000円・授業料年額535,800円の場合です。国立でもこの金額と異なる大学があるため、志望先の実額で計算します。私立大学院は専攻差が大きく、文部科学省の令和7年度調査では、博士前期課程(修士課程を含む・昼間部)の初年度学生納付金の平均は約109.1万円です。これは2年間の総額ではありません。この記事では、国立・公立の実額例、私立の平均、生活費、支援制度を分け、進学前に必要なお金を整理します。
| 先に知りたい結論 | 目安・計算条件 |
|---|---|
| 標準額で計算する修士2年間の入学料・授業料 | 282,000円+535,800円×2年=1,353,600円。国立一律の金額ではありません。 |
| 私立大学院の初年度平均 | 令和7年度・博士前期課程(修士を含む)の入学料・授業料・施設設備費は1,090,714円 |
| 生活費を含めた総額 | 志望校の2年分の学費に、自分の住居・生活費24か月分と受験・転居費を加算 |
| 支援制度 | 授業料免除と、返還が必要なJASSO貸与奨学金・授業料後払い制度を分けて検討 |
入学料は入学手続き時、生活費は毎月必要になります。2年間の合計だけでなく、奨学金が入る前に支払う金額まで確認すると、準備すべき貯金や家族への相談額が見えてきます。
- 大学院の学費は2年間の総額で考える
- 国立大学院の学費は標準額と実額を分けて見る
- 私立大学院は専攻によって差が大きい
- 公立大学院は国立に近いが入学料に注意する
- 国立と私立の差は2年分の学費で比較する
- 生活費まで含めると必要額は大きく変わる
- JASSO調査で見る大学院生の生活費
- 4パターンで見る修士2年間の費用シミュレーション
- 大学院で使える支援制度
- 奨学金を借りる場合の返済イメージ
- 授業料後払い制度は誰に向いているか
- 志望校の学費を確認する手順
- 親に説明するときの費用表
- 学費の準備と受験勉強の時間を両立する
- 学費で進学を迷う人が先に考えるべきこと
- まとめ:大学院の学費は志望校の実額と2年間の生活費で考える
- よくある質問
- 参考にした一次情報
大学院の学費は2年間の総額で考える

大学院の費用は、授業料だけで判断しないでください。標準年限での修了が難しい場合は、大学院の長期履修制度も確認してください。授業料と施設費の計算は研究科ごとに違います。進学前に見積もるべき費用は、主に次の5つです。
| 費用 | 確認する内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 入学料 | 入学時に支払う費用 | 同じ大学出身者は免除される場合があります。 |
| 授業料 | 前期・後期または年額 | 国立でも大学ごとに改定される可能性があります。 |
| 受験料 | 出願ごとに必要な検定料 | 併願すると地味に増えます。 |
| 生活費 | 家賃、食費、交通費、通信費 | 下宿するかで総額が大きく変わります。 |
| 研究費・教材費 | 書籍、PC、学会、実験関連費 | 研究室や専攻によって差があります。 |
まずは「入学時に払うお金」と「2年間で払うお金」を分けてください。ここを混ぜると、資金計画がかなり曖昧になります。出願前の段階では、次の3つを費用表に分けておくと整理しやすくなります。
- 入学手続き時に必要な金額
- 修士2年間で必要な授業料
- 下宿した場合の生活費
この3つが見えると、奨学金やアルバイトで補うべき金額も見えます。
国立大学院の学費は標準額と実額を分けて見る
約135万円という目安は、入学料282,000円と授業料年額535,800円を2年間納める計算です。たとえば東京大学の公式学費表では、修士課程の授業料は年額535,800円です。一方、東京科学大学理工学系の公式学費表では、2019年9月以降入学の修士課程は年額635,400円となっています。
| 修士課程の実額例 | 入学料 | 授業料年額 | 入学料+授業料2年分 |
|---|---|---|---|
| 東京大学 公式表の修士課程(2025年4月1日更新) |
282,000円 | 535,800円 | 1,353,600円 |
| 東京科学大学・理工学系 2019年9月以降入学者(2026年9月28日更新) |
282,000円 | 635,400円 | 1,552,800円 |
金額は2026年10月9日に確認した公式表に基づき、在学中の改定・免除がなく、2年間在学すると仮定した計算です。検定料、生活費、教材費などは含みません。この2例だけでも差は199,200円あり、「国立だから同じ」とは見積もれません。学部、修士、博士、専門職学位課程で授業料が異なる大学もあります。自分の課程と入学年度の欄を確認し、翌年度入学者向けの改定予告がある場合は、その金額を資金計画に使います。
私立大学院は専攻によって差が大きい

私立大学院は、大学名だけでなく研究科・専攻によって学費が変わります。文部科学省の令和7年度調査では、博士前期課程(修士課程を含む・昼間部)の初年度学生納付金の平均は1,090,714円です。2025年度の入学定員による加重平均で、博士後期課程や専門職学位課程の平均とは別です。内訳は授業料811,006円、入学料208,987円、施設設備費70,721円です。実験実習料などの追加費用は、この3費目の合計に含まれません。
| 分野 | 初年度学生納付金の平均 |
|---|---|
| 人文・社会科学 | 988,048円 |
| 理・工・農学 | 1,152,740円 |
| 保健 | 1,056,977円 |
| 家政・芸術 | 1,372,965円 |
| 全平均 | 1,090,714円 |
この表で見てほしいのは、「私立は一律ではない」という点です。文系だから必ず安い、理系だから必ず高い、とは言い切れません。設備費、実験実習料、学会費、校友会費などが加わる大学もあります。早稲田大学や慶應義塾大学のように、研究科ごとに学費ページを分けて公開している大学もあります。志望校が決まったら、大学全体の学費ページではなく、必ず志望研究科の募集要項・学費ページを確認してください。
公立大学院は国立に近いが入学料に注意する
公立大学院も、大学が公表する授業料と入学料を分けて比較します。東京都立大学の学費案内では、法科大学院を除く大学院の授業料は半期260,400円、年額換算で520,800円です。入学料は東京都の住民の認定を受けるかで変わります。
| 東京都立大学大学院の区分 | 入学料 | 授業料年額 | 入学料+授業料2年分 |
|---|---|---|---|
| 東京都の住民 | 141,000円 | 520,800円 | 1,182,600円 |
| 上記以外 | 282,000円 | 520,800円 | 1,323,600円 |
2026年10月9日に確認した公表額を、改定・減免なしの2年間で計算しています。「東京都の住民」は、本人、配偶者または一親等の親族が入学日の1年前から継続して都内に住所を持つなど、大学の定義と証明手続きがあります。入学直前に都内へ転居しただけで該当するわけではありません。
国立と私立の差は2年分の学費で比較する
比較には、入学料と各年の授業料、毎年必要な施設費などを使います。私立の初年度平均を単純に2倍すると、通常は初年度だけの入学料まで二重に数えてしまいます。反対に授業料だけを2倍すると、施設費や実習費を落とすことがあります。たとえば入学料20万円、授業料年90万円、施設費年10万円と仮定すれば、2年間は20万円+(90万円+10万円)×2年=220万円です。これは計算方法を示す仮の例で、私立大学院全体の平均ではありません。実際には志望研究科の初年度・2年次の納付金をそれぞれ足します。
費用差を確認したうえで、研究内容、指導教員、研究環境、支援制度も比べます。複数校を検討する場合は、大学院の併願戦略と合わせて、受験時の費用と入学後の費用を分けて整理できます。
生活費まで含めると必要額は大きく変わる
大学院の費用で見落としやすいのが生活費です。自宅から通えるなら、学費と交通費が中心になります。一人暮らしなら、家賃、食費、光熱費、通信費、交通費が毎月かかります。仮に生活費を月8万円で見積もると、2年間で192万円です。月10万円なら、2年間で240万円になります。
| 生活スタイル | 考え方 |
|---|---|
| 自宅通学 | 学費と交通費を中心に考える |
| 下宿 | 家賃と生活費を2年分で計算する |
| 研究が忙しい専攻 | アルバイト時間を少なめに見積もる |
| 遠方受験 | 受験時の交通費・宿泊費も入れる |
院試では、合格後すぐに入学手続きが来ます。合格してからお金を調べると、判断が遅れます。進学費用は、院試勉強のロードマップと同じタイミングで見ておく方が安全です。
JASSO調査で見る大学院生の生活費
生活費の見積もりは、自分の感覚だけで決めない方がいいです。家賃や物価は地域差がありますが、公式調査を目安にすると現実に近づきます。JASSOの令和6年度学生生活調査・大学院各課程(試行)では、修士課程の一般の学生の学生生活費は年額1,737,400円です。「一般の学生」と「社会人学生」を分けた調査で、ここでは一般の学生の全国平均を使います。この「学生生活費」は、授業料などの学費と、食費・住居費・光熱費などの生活費を合わせた支出額です。2年間で単純計算すると、約347万円になります。
| 区分 | 年額の学生生活費 | 在学期間での換算例 |
|---|---|---|
| 修士課程・一般の学生 | 1,737,400円 | 約3,474,800円 |
| 博士課程・一般の学生 | 2,077,900円 | 博士3年なら約6,233,700円 |
| 専門職学位課程・一般の学生 | 1,975,700円 | 2年間なら約3,951,400円 |
この金額を見ると、学費だけで進学判断をする危うさがわかります。この調査の学生生活費には学費が含まれるため、約347万円へさらに授業料を足す計算はしません。自分の予算を組むときは、志望校の学費と生活費を別々に積み上げます。一人暮らしをするなら、家賃を低く見積もりすぎないでください。研究が忙しい専攻では、アルバイトで毎月大きく稼ぐ計画も崩れやすいです。さらに、授業料などを除いた生活費部分も見ておくと現実的です。JASSO調査では、修士課程の一般学生の生活費は年額977,300円が目安です。月換算では約81,442円です。
| 生活費の項目 | 年額 | 月額換算 |
|---|---|---|
| 住居・光熱費 | 313,500円 | 約26,125円 |
| 食費 | 261,100円 | 約21,758円 |
| 保健衛生費 | 69,600円 | 約5,800円 |
| 娯楽・し好費 | 177,800円 | 約14,817円 |
| その他生活費 | 155,300円 | 約12,942円 |
| 合計 | 977,300円 | 約81,442円 |
実家暮らしと下宿でも差が出ます。同調査では、修士課程の実家暮らしの生活費は年517,200円です。下宿・アパート等は年1,309,400円です。年1,309,400円を2年分にすると2,618,800円です。ただし、これは下宿・アパート等の平均を単純に2倍した参考額で、全員に必要な最低額ではありません。実際の家賃や暮らし方で調整します。
4パターンで見る修士2年間の費用シミュレーション
ここでは、進学前に使いやすいように、2年間の費用をざっくり分けます。金額はあくまで目安です。最終的には、志望研究科の公式ページで確認してください。
| パターン | 学費の目安 | 生活費の考え方 | 2年間の見方 |
|---|---|---|---|
| 国立大学院・自宅通学 | 標準額なら約135万円。志望校の実額で再計算 | 交通費中心 | 最も負担を抑えやすい |
| 国立大学院・一人暮らし | 標準額なら約135万円。志望校の実額で再計算 | 家賃と食費が大きい | 総額は300万円超を見込む |
| 公立大学院・域外から進学 | 国立に近いが入学料が上がる場合あり | 地域差が大きい | 入学料区分を先に確認 |
| 私立大学院 | 研究科により大きく変動 | 都市部なら生活費も高め | 2年次学費まで確認 |
親に説明するときは、この表をそのまま使うより、自分の志望校名に置き換えてください。「A大学院なら入学時いくら、2年間でいくら、下宿なら毎月いくら」と分けると伝わりやすいです。
大学院で使える支援制度

大学院の費用が不安なら、早めに支援制度を確認してください。学費を下げる方法と、支払い時期をずらす方法は別です。主な制度は次の通りです。
| 制度 | 内容 | 確認先 |
|---|---|---|
| 授業料免除 | 経済状況や成績に応じて授業料が減免される制度 | 各大学 |
| JASSO第一種奨学金 | 無利子の貸与奨学金。修士課程相当は月5万円または8.8万円 | JASSO |
| JASSO第二種奨学金 | 有利子の貸与奨学金。大学院は月5万円、8万円、10万円、13万円、15万円から選択 | JASSO |
| 授業料後払い制度 | 大学院修士段階で、在学中の授業料負担を卒業後の所得連動返還に回す制度 | JASSO・各大学 |
| TA・RA | 授業補助や研究補助の業務で収入を得る制度 | 研究科・研究室 |
| 民間奨学金 | 財団や企業による給付・貸与制度 | 大学の奨学金窓口 |
制度名だけを見ると、どれを使えばよいか迷いやすいです。判断するときは、対象者、条件、注意点に分けて確認してください。
| 制度 | 対象 | 条件の見方 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 大学独自の授業料免除 | 大学院生も対象になる大学が多い | 経済的理由、学力基準、家計急変、災害など | 予算内選考です。全員が免除される制度ではありません。 |
| JASSO第一種奨学金 | 修士は月5万円または8.8万円 | 本人と配偶者の住民税情報などで審査 | 無利子ですが返還は必要です。 |
| JASSO第二種奨学金 | 大学院は月5万円から15万円 | 第一種より家計基準は広め | 有利子です。借りすぎに注意してください。 |
| 授業料後払い制度 | 修士課程、博士前期相当、専門職学位課程 | 第一種奨学金と近い学力・家計基準 | 第一種奨学金との併用はできません。第二種とは併用できます。 |
特にJASSO第一種奨学金には、大学院で優れた業績を挙げた人を対象に、返還の全額または半額が免除される制度があります。これは全員が使える制度ではありません。ただ、研究成果、成績、TA・RA、学会発表などが評価対象になるため、大学院生活の設計にも関わります。奨学金は「借りられるか」だけでなく、「返す見通しを持てるか」まで考えてください。
奨学金を借りる場合の返済イメージ
奨学金は、進学の選択肢を広げてくれる制度です。一方で、貸与型は返済が必要です。借りる前に、貸与総額を必ず計算してください。
| 制度 | 月額 | 24か月借りた場合 | 考え方 |
|---|---|---|---|
| JASSO第一種 修士課程相当 |
50,000円 | 1,200,000円 | 無利子。返還免除の可能性あり |
| JASSO第一種 修士課程相当 |
88,000円 | 2,112,000円 | 生活費まで補いやすいが返済額は大きい |
| JASSO第二種 | 50,000円〜150,000円 | 1,200,000円〜3,600,000円 | 有利子。必要額だけ借りる |
| 授業料後払い制度 | 年535,800円の授業料支援を2年受ける場合の例 | 1,071,600円+保証料相当額(生活費奨学金は別) | 所得連動返還方式で返還する |
第一種奨学金は無利子ですが、借金であることは変わりません。ただし大学院の場合、特に優れた業績による返還免除制度があります。全額または半額の返還免除が認定される可能性があるため、研究成果や成績も資金計画に関わります。返還免除を狙う場合でも、「免除されなかった場合に返せるか」を先に考えてください。第二種奨学金は選べる月額が広いぶん、必要以上に借りすぎない判断が必要です。返還月額は、奨学金の種類、返還方式、利率、保証料、所得で変わります。JASSOの公式シミュレーションで、貸与総額、毎月の返還額、返還完了時期を確認してください。
授業料後払い制度は所得連動返還方式です。返還開始から最初の9月までは、返還月額2,000円で、年収が一定額に届くまでは低い月額で返還する仕組みです。
授業料後払い制度は誰に向いているか
大学院修士段階では、JASSOの授業料後払い制度も選択肢になります。これは、在学中に授業料相当額を支援対象授業料として扱い、卒業後の所得に応じて返還する制度です。JASSOの説明では、授業料支援金と生活費奨学金の2つの支援を無利子で受けられます。ただし、すべての大学で同じ使い方ができるとは限りません。学校とJASSOの契約状況により、授業料相当額が大学へ振り込まれるか、本人に振り込まれるかが変わることがあります。生活費奨学金は、0円、2万円、4万円から選びます。入学料は授業料支援の対象外です。
入学手続き時の入学料、検定料、引っ越し費用、前期の生活費は別に準備してください。授業料後払い制度が向いているのは、次のような人です。
- 入学後の授業料負担をすぐには用意しにくい人
- 修了後の就職・収入見込みをある程度考えられる人
- 第一種奨学金と後払い制度の違いを理解して選びたい人
- 大学の奨学金窓口に早めに相談できる人
逆に、制度の内容をよく見ないまま「後払いなら楽そう」と考えるのは危険です。卒業後に返還する制度なので、返済計画まで含めて判断してください。
志望校の学費を確認する手順
学費は毎年変わる可能性があります。この記事の金額は目安として使い、最終確認は必ず公式ページで行ってください。確認手順は次の通りです。
- 志望研究科の募集要項を開く
- 入学料、授業料、施設設備費、実験実習費を確認する
- 入学手続き時に支払う金額を確認する
- 2年次以降の授業料を確認する
- 授業料免除・奨学金・後払い制度の締切を確認する
大学院の学費ページは、大学全体のページと研究科ページで情報が分かれていることがあります。迷ったら、募集要項を優先してください。そのうえで、研究室訪問のときに学生生活やアルバイトの実態を聞くのも有効です。研究室訪問で聞く内容は、研究室訪問で何を話すかの記事に整理しています。
親に説明するときの費用表
大学院進学では、本人だけでなく家族の理解も大切です。特に学費を一部でも家族に相談するなら、感覚ではなく表で説明してください。次の形にすると、話が進みやすいです。
| 項目 | 金額 | 支払い時期 | 誰が負担するか |
|---|---|---|---|
| 入学料 | 志望校の金額 | 入学手続き時 | 本人・家族・貯金など |
| 前期授業料 | 半期分 | 入学後の指定日 | 奨学金・免除・家族など |
| 後期授業料 | 半期分 | 秋ごろ | 奨学金・免除・家族など |
| 生活費 | 月額見込み | 毎月 | 本人・奨学金・アルバイトなど |
| 受験費用 | 受験料・交通費・宿泊費 | 出願から試験日 | 本人・家族など |
親に説明するときは、「大学院に行きたい」だけでは足りません。いくら必要で、いつ必要で、どこまで自分で準備するのかを出してください。この表を作ると、志望校を変えるべきか、併願校をどうするかも判断しやすくなります。
学費の準備と受験勉強の時間を両立する
学費の準備では、アルバイトの収入を見積もるだけでなく、受験勉強に使える時間も考えます。試験直前期や卒業研究が忙しい時期に勤務時間を減らすなら、その期間の収入減を先に費用表へ入れておくと、直前に支払いのための予定変更をせずに済みます。家族の支援を相談する場合も、2年間の総額だけではなく、入学手続き時に必要な金額、本人の貯金で払える範囲、奨学金の採用前に不足する金額を分けます。まだ採用されていない奨学金や免除を確定収入として数えず、不採用だった場合の費用も並べておくと判断しやすくなります。
学費で進学を迷う人が先に考えるべきこと
学費が不安なときほど、志望校をいきなり下げないでください。先に、支援制度、生活費、併願校、卒業後の進路を分けて考えます。特に理系の外部院試では、研究室選びと就職先への影響も大きいです。学費が安い大学院でも、研究テーマが合わなければ2年間が苦しくなります。逆に、学費が高い大学院でも、研究環境やキャリア上の価値が大きい場合があります。判断軸は次の4つです。
- 2年間の総費用を払えるか
- 奨学金や授業料免除の可能性があるか
- 研究室の環境が自分に合うか
- 修了後の進路に納得できるか
院試の難易度や受かりやすさも含めて考えるなら、院試の難易度の記事も合わせて確認してください。
まとめ:大学院の学費は志望校の実額と2年間の生活費で考える
大学院の修士2年間の学費は、標準額で計算すると約135万円ですが、国立でも大学によって異なります。入学料、2年分の授業料、追加の納付金を志望校の表で確認します。私立大学院は研究科や専攻で差が大きく、文部科学省の令和7年度調査では、博士前期課程(修士課程を含む・昼間部)の初年度学生納付金の平均が約109.1万円でした。ここに生活費、受験料、交通費、教材費が加わります。進学前に確認すべきなのは、次の3つです。
- 入学手続き時に必要な金額
- 修士2年間の学費と生活費
- 奨学金・授業料免除・後払い制度の締切
学費は、進学判断の大きな材料です。ただし、研究内容や指導教員との相性を無視して決めると、入学後に苦しくなります。お金の不安を数字に落とし込みつつ、自分が本当に研究したいテーマを選んでください。
よくある質問
最後に、大学院の学費でよく聞かれる質問をまとめます。
大学院の学費は国立と公立で違いますか?
授業料は同水準の大学が多いです。ただし、公立大学院は入学料に地域内と地域外の差が出ることがあります。東京都立大学のように、居住要件で入学料が変わる大学があります。公立を受ける人は、授業料だけでなく入学料の区分を確認してください。
大学院の学費は親に出してもらう人が多いですか?
家庭によります。JASSOの大学院調査では、修士課程の一般学生の多くが何らかの経済的支援を受けています。親・親戚からの支援もありますが、JASSO第一種奨学金や大学独自の給付型支援を使う人もいます。親に全額出してもらう前提ではなく、本人の貯金、奨学金、授業料免除を組み合わせて考えてください。
大学院生は高等教育の修学支援新制度を使えますか?
国の「高等教育の修学支援新制度」は大学院生を対象としていません。たとえば東京都立大学の説明でも、高等教育の修学支援新制度について、大学院生は対象外と案内されています。大学院生は、大学院向けの授業料免除、JASSO貸与奨学金、授業料後払い制度、大学独自の奨学金を確認してください。
授業料後払い制度を使えば入学時のお金は不要ですか?
不要とは言えません。入学料、検定料、引っ越し費用、前期生活費は別に必要です。制度の対象、振込先、採用時期は大学によって扱いが変わります。必ず大学の奨学金窓口で確認してください。
国立大学院ならどこでも同じ学費ですか?
同じとは限りません。多くの国立大学院では標準額に近い金額が使われますが、大学や入学年度によって改定される可能性があります。東京大学のように、学部と大学院で扱いが異なる情報を公開している大学もあります。必ず志望年度の公式ページで確認してください。
私立大学院は国立より必ず高いですか?
平均では高くなりやすいです。ただし、私立大学院は研究科ごとの差が大きいです。文系、理系、芸術系、専門職大学院では金額が変わります。また、大学独自の奨学金や入学金免除がある場合もあります。
一人暮らしの生活費はいくら見ればよいですか?
JASSO調査では、修士課程の下宿・アパート等の生活費は年1,309,400円です。月換算では約109,000円です。都市部では家賃が上がりやすいため、低く見積もりすぎないでください。
奨学金は親の収入で決まりますか?
大学院のJASSO貸与奨学金は、申込者本人と配偶者の住民税情報をもとに審査されます。学部時代の奨学金と同じ感覚で考えないでください。ただし、大学独自制度では扱いが異なる場合があります。志望校の奨学金ページで確認してください。
大学院ではアルバイトで学費を払えますか?
一部を補うことはできます。しかし、研究が忙しい専攻では、毎月安定して長時間働くのは難しいです。授業、研究、ゼミ、学会、就活が重なる時期もあります。アルバイト収入だけで全額を払う計画は、かなり慎重に見てください。
学費が不安なら院試を諦めるべきですか?
すぐに諦める必要はありません。先に、志望校の費用、奨学金、授業料免除、後払い制度、併願校を整理してください。数字にすると、足りない金額が見えます。そのうえで、研究内容や将来の進路と合わせて判断するのが現実的です。
院試前に確認すべき費用は何ですか?
検定料、入学料、授業料、研究費、引っ越し費用、生活費を確認してください。奨学金の採用時期と、授業料免除の申請期限も見ておきます。合格後に初めて調べると、入学手続きの判断がかなり慌ただしくなります。
参考にした一次情報
金額は改定される可能性があります。出願前には、必ず志望大学院の公式ページで最新年度を確認してください。
