大学1年生、2年生のうちに院試を意識すると、周りより早く動けます。ただし、最初から専門書を何冊も買う必要はありません。
まずやるべきことは、大学院で何を評価されるのかを知ることです。文部科学省の大学院入学者選抜実施要項では、学力検査、口頭試問、面接、志望理由書、成績証明書などが選抜資料として扱われます。
つまり、院試対策は筆記だけではありません。成績、研究テーマ、英語、情報収集、先生との接点まで、少しずつ積み上げる試験です。
大学1年生、2年生から院試対策を始める意味
早く始める一番の利点は、選択肢を狭めずに済むことです。出願直前に研究科を探すと、試験科目や英語スコア、研究室訪問の時期で詰まりやすくなります。

院試は短期決戦に見えて、実は積み上げ型
院試本番は夏から秋に集中します。けれど、評価される材料は本番の数週間だけで作れません。GPA、英語、専門科目の基礎、研究室選びは、早い時期から差が出ます。
全体像は院試対策ロードマップで詳しく整理しています。この記事では、大学1年生、2年生が今からできる準備に絞ります。
早期対策で避けられる失敗
よくある失敗は、3年生の夏に初めて志望研究科の募集要項を見ることです。英語スコア提出が必要だったり、専門科目が想像と違ったりすると、残された時間が足りません。
| 失敗パターン | 早めにできる対策 |
|---|---|
| 試験科目を知らない | 1年生のうちに2〜3研究科の募集要項を見る |
| 英語スコアが間に合わない | TOEIC・TOEFL ITPのどちらが使えるか確認する |
| 研究室選びが遅い | 興味分野と教員名をメモしておく |
| GPAを軽視する | 必修科目と専門基礎を落とさない |
大学1年生がやるべき院試対策
大学1年生は、具体的な受験校を決め切らなくて大丈夫です。まずは成績と基礎科目を崩さないことに集中してください。
1. 必修科目を丁寧に取る
院試で専門科目として出る内容は、学部1年生、2年生の基礎科目とつながっています。線形代数、微積分、力学、電磁気、統計、プログラミングなどは、専攻によってそのまま土台になります。
ここで単位だけを取りにいくと、3年生以降に過去問を見たときに苦しくなります。授業ノートを残し、定期試験前だけでなく、試験後に解き直す癖をつけてください。
2. GPAを下げない
GPAだけで合否が決まるわけではありません。とはいえ、成績証明書は出願書類に含まれることがあります。特に外部院試では、書類や面接で学部時代の学びを説明する場面が出ます。
1年生の成績は後から取り返しにくいです。苦手科目を放置せず、再履修や低評価を避けるだけでも、後の選択肢が広がります。
3. 研究テーマの入口を探す
研究テーマは、最初から立派な言葉にする必要はありません。授業で面白かった章、ニュースで気になった技術、実験で疑問に思った現象をメモしてください。
メモが10個ほど集まると、自分が興味を持ちやすい分野が見えてきます。研究室探しは、その興味の集合から始めると迷いにくくなります。
大学2年生がやるべき院試対策
大学2年生は、少しずつ志望分野を絞る時期です。まだ受験校を固定しなくても、試験科目と研究室の情報は集め始めてください。

1. 志望研究科の募集要項を見る
東京大学工学系研究科や情報理工学系研究科のように、研究科ごとに募集要項、専攻案内、英語スコアの扱いが分かれています。工学系研究科の募集要項や情報理工学系研究科の入学・進学案内のような公式ページを見て、必要科目を確認してください。
年度別の確認ポイントは院試で見るべき公式情報にもまとめています。古いまとめ記事だけで判断しないことが大切です。
2. 過去問を一度だけ眺める
2年生の段階で過去問を解けなくても問題ありません。目的は、どの科目がどの深さで出るのかを知ることです。
過去問の使い方は院試の過去問は何年分解くべきかで整理しています。早期段階では、解くよりも出題範囲を知る使い方が向いています。
3. 英語試験の方式を確認する
院試英語は、独自試験、TOEIC、TOEFL ITP、TOEFL iBTなど、研究科ごとに扱いが違います。出願時にスコア提出が必要な場合もあります。
TOEFL ITP対策はTOEFL ITP攻略法、TOEICとTOEFLの違いはTOEICとTOEFLの換算表を参考にしてください。
大学1年生、2年生でやらなくていいこと
早めに始めるほどよいとはいえ、全部を前倒しする必要はありません。むしろ、早すぎる対策で疲れてしまう人もいます。
志望校を一つに固定しない
1年生、2年生で志望校を一つに絞ると、学びながら興味が変わったときに動きにくくなります。候補は広く持ち、研究分野で比較してください。
専門書を大量に買わない
過去問を見ていない段階で専門書を買うと、遠回りになりやすいです。まずは授業の教科書、シラバス、公式の試験科目を軸にしてください。
SNSの合格体験談だけで判断しない
体験談は役に立ちます。ただし、年度、研究科、内部生か外部生かで条件が変わります。公式情報と体験談を分けて読む癖をつけてください。
早期準備のロードマップ
大学1年生、2年生の行動は、次のように分けると現実的です。
| 時期 | やること | 目的 |
|---|---|---|
| 大学1年前期 | 必修科目を丁寧に受ける | 基礎科目を崩さない |
| 大学1年後期 | 興味分野をメモする | 研究テーマの入口を作る |
| 大学2年前期 | 募集要項と過去問を眺める | 試験科目を知る |
| 大学2年後期 | 英語試験と研究室候補を確認する | 3年生からの動きを軽くする |
ESCAPEの合格者の声から見える早期準備のコツ
ESCAPEの合格者の声を見ると、早く動いた人ほど、最初から完璧に計画していたわけではありません。むしろ、情報を小さく集めて、後から志望先を絞っています。
ある合格者は、2年生の時点では研究テーマを決め切れなかったものの、授業で面白かった分野を残していました。そのメモが、3年生で研究室を探すときの判断材料になっています。
別の合格者は、外部院試を考え始めた時期に、まず募集要項だけを読みました。英語スコア提出の有無を早く知れたため、専門科目の勉強を始める前に英語の準備を切り分けられています。
大学1年生、2年生の院試対策でよくある質問
早い時期ほど、何から手をつけるべきか迷いやすいです。よくある疑問を先に整理します。
大学1年生から予備校に通うべきですか
基本的には不要です。まずは授業、成績、基礎科目、公式情報の確認で十分です。外部院試や難関研究科を考える場合でも、具体的な受験校が見えてから判断してください。
研究室訪問はいつから必要ですか
多くの人は3年生以降で間に合います。ただし、分野によっては早めに教員や説明会を確認した方がよい場合があります。研究室訪問の時期は大学院の研究室訪問はいつ行くかで詳しく整理しています。
外部院試を考えるなら何を優先しますか
外部院試では、情報収集の差が大きく出ます。内部生との差を埋めるには、募集要項、過去問、研究室情報、英語試験を早めに見てください。詳しくは外部院試の勉強法と合格戦略で解説しています。
大学1年生、2年生の月1チェックリスト
早期対策は、毎日やると重くなります。月に1回だけ、30分から60分で確認する形にすると続きます。
| チェック項目 | 確認すること | 目安 |
|---|---|---|
| 成績 | 落としそうな科目がないか | 月末に1回 |
| 基礎科目 | 授業ノートを残せているか | 定期試験後に1回 |
| 研究分野 | 気になったテーマをメモしたか | 月に3個 |
| 公式情報 | 志望研究科候補を見たか | 学期に1回 |
| 英語 | 試験方式だけ確認したか | 2年生後半から |
ノートは一冊にまとめる
院試用のノートを一冊作ってください。紙でもNotionでも構いません。授業で面白かった内容、気になった研究室、募集要項で見つけた注意点を一箇所に集めます。
このノートは、3年生になってからかなり効きます。志望理由書を書くとき、研究室訪問で質問を作るとき、面接で関心を説明するときの素材になるからです。
完璧な計画より、更新できる計画を作る
1年生の時点で、4年生までの計画を完璧に作る必要はありません。学年が上がるほど興味も変わります。計画は固定するものではなく、更新するものです。
最初は、興味分野を3つ、候補研究科を3つ、苦手科目を3つ書くだけで十分です。そこから、学期ごとに見直してください。
科目別に見る早期対策の考え方
大学1年生、2年生の時点では、院試の過去問を解くより、基礎科目を強くする方が得です。科目ごとの見方を分けておきます。
数学・統計は後回しにしない
理系院試では、数学や統計の基礎が専門科目に混ざります。公式に数学と書かれていなくても、論文や専門問題を読むときに使う場面があります。
計算問題を解けるだけでなく、なぜその式を使うのかを説明できるようにしてください。面接でも、基礎理解を短く聞かれることがあります。
専門科目は授業の復習を残す
専門科目は、3年生になってから急に難しくなります。2年生までに学んだ基礎を忘れていると、過去問演習でつまずきます。
授業で使った資料やレポートは、捨てずに残してください。あとから見返せるだけで、院試勉強の立ち上がりが速くなります。
英語は方式確認を先にする
英語は、早く勉強を始めるより、まず方式確認です。TOEICでよいのか、TOEFL ITPなのか、TOEFL iBTなのか、独自試験なのかで対策が変わります。
方式が分からないまま単語帳だけ進めると、得点に直結しにくいことがあります。2年生の後半までに、候補研究科の英語方式を一度確認してください。
早期対策で疲れないための考え方
早く始める人ほど、途中で疲れない仕組みが必要です。院試は長い準備になります。最初から全力で走るより、習慣にする方が強いです。
週1回だけ院試時間を作る
週1回、30分だけ院試の時間を作ってください。募集要項を見る、研究室ページを読む、授業ノートを整理する、英語方式を調べる。どれか一つで構いません。
少しずつでも続けると、3年生になったときに『何も分からない』状態を避けられます。早期対策の価値は、焦りを減らすことにあります。
周りと比べすぎない
大学1年生、2年生で院試を意識している人は多くありません。周りが何もしていないからといって、自分の準備が変なわけではありません。
逆に、周りより早く始めているからといって、毎日受験勉強をする必要もありません。今の授業を大切にしながら、情報だけ先に取る感覚で進めてください。
3年生になる前に作っておくと楽なもの
3年生になると、授業、研究室配属、インターン、サークル、アルバイトで急に忙しくなります。だからこそ、1年生、2年生のうちに小さな準備物を作っておくと楽です。
候補研究科リスト
候補研究科リストには、大学名、研究科名、専攻名、公式URL、試験科目、英語方式を書きます。最初は3件で十分です。気になったら追加し、違うと思ったら消してください。
苦手科目リスト
苦手科目は、院試直前に見つけると重くなります。定期試験で点が取りにくかった科目、授業で理解が浅かった単元、レポートで詰まった範囲を残してください。
研究関心メモ
研究関心メモは、きれいな文章にしなくて大丈夫です。『画像認識が気になる』『睡眠と集中に興味がある』『材料の劣化を調べたい』のような断片で十分です。後から研究室探しの軸になります。
早期対策をしている人のよくある勘違い
早く動く人ほど、正解を早く決めたくなります。ただ、院試対策では、早い段階で一つに決めすぎない方がうまくいくこともあります。
志望校を変えたら失敗ではない
1年生、2年生で見ていた研究科から変わっても問題ありません。情報を集めた結果、自分に合う場所が変わるのは自然です。早期対策の目的は、最初の志望校に縛られることではありません。
勉強量より判断材料を増やす
この時期は、1日5時間の院試勉強より、判断材料を増やす方が効果的です。研究科の違い、試験科目の違い、研究室の雰囲気を知ることで、3年生以降の勉強が的を外しにくくなります。
まとめ:大学1年生、2年生は土台づくりで十分
大学1年生、2年生の院試対策は、焦って受験勉強を始めることではありません。基礎科目を丁寧に学び、GPAを崩さず、研究分野の入口を探し、公式情報を読む習慣を作ることです。
この段階で土台があると、3年生になってからの研究室訪問、過去問演習、英語対策がかなり楽になります。まずは、志望研究科を2〜3個選び、募集要項を眺めるところから始めてください。
参考にした一次情報
本文では、年度や制度が変わりやすい情報を公式ページで確認する前提にしています。実際に出願する前は、志望研究科の募集要項を必ず見てください。


